建設業許可の営業所要件とは?自宅・賃貸で申請する場合の条件を行政書士が解説
札幌で建設業許可を検討している方から、 「自宅を営業所にして建設業許可を取れるのか」 「賃貸マンションでも申請できるのか」 といったご相談があります。
重要なのは、専用の事務所を借りているか、自社所有の物件かという形式だけではなく、 その場所が実際に建設業の営業所として機能しているかどうかです。
特に一人親方や個人事業主の場合、 自宅を事務所として建設業を営んでいるケースは珍しくありません。
一方で、住所だけを使用している場合や、 建設業の営業を行っている実態がない場合には、 営業所として扱われない可能性があります。
この記事では、建設業許可における営業所の考え方、 自宅・賃貸物件を営業所とする場合の注意点、 営業所技術者等との関係まで解説します。
目次
- 1 建設業許可における「営業所」とは?
- 2 建設業の営業所に該当しないケース
- 3 自宅でも建設業許可の営業所にできる?
- 4 賃貸マンション・アパートでも申請できる?
- 5 自宅兼事務所の場合は生活スペースと分ける必要がある?
- 6 営業所には営業所技術者等を置く必要がある
- 7 自宅と別の場所に資材置場がある場合は?
- 8 工事現場の事務所は営業所になる?
- 9 バーチャルオフィスで建設業許可は取れる?
- 10 営業所の場所で知事許可・大臣許可が変わる
- 11 札幌で建設業許可を申請する場合の営業所
- 12 営業所だけでは建設業許可は取れない
- 13 営業所の500万円要件と工事金額の500万円は別
- 14 建設業許可の営業所についてよくある質問
- 15 まとめ|自宅・賃貸でも営業所として申請できる場合がある
- 16 自宅・賃貸で建設業許可を申請できるか確認します
建設業許可における「営業所」とは?
建設業法上の営業所とは、 本店または支店のほか、 常時建設工事の請負契約を締結する事務所 などをいいます。
ここでいう請負契約の締結には、 契約書へ押印する行為だけではなく、 見積り、入札、契約締結など、 請負契約の締結に関する実質的な行為が含まれます。
また、本店や支店であっても、 他の営業所に対して請負契約に関する指導監督を行うなど、 建設業の営業に実質的に関与している場合には、 建設業法上の営業所に該当します。
実際にその場所で建設業に関する営業を行っているかどうかが重要です。
建設業の営業所に該当しないケース
名称に「本店」「支店」「営業所」などが付いていても、 すべてが建設業法上の営業所になるわけではありません。
例えば、次のような場所は、 建設業法上の営業所に該当しない場合があります。
- 登記上の本店にすぎず、実際には建設業の営業を行っていない場所
- 建設業とは無関係な事業だけを行っている支店
- 単なる事務連絡のための連絡所
- 特定の工事のため一時的に設置された工事事務所・作業所
反対に、「営業所」という名称を使用していなくても、 実際に継続して建設工事の見積りや契約等を行っている場合には、 建設業法上の営業所に該当する可能性があります。
自宅でも建設業許可の営業所にできる?
自宅であることだけを理由に、 建設業許可の営業所として認められないわけではありません。
一人親方や個人事業主の場合、 自宅の一部を事務所として使用していることもあります。
このような場合には、 その場所について建設業の営業所としての実態があるかを確認します。
| 確認したい項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 営業所の実態 | 建設工事の見積りや契約等を行う事務所として実際に使用しているか |
| 使用権限 | 自己所有、賃貸借など、その場所を営業所として使用できる権限があるか |
| 事務所としての設備 | 建設業の営業を行うための事務スペースや必要な設備等があるか |
| 独立性・継続性 | 一時的な場所ではなく、継続して営業所として使用できる状態か |
自宅を実際の事務所として使用しているのであれば、 営業所として申請できる可能性があります。
一人親方・個人事業主として建設業許可を取得する場合の要件については、 一人親方でも建設業許可は取れる?札幌の行政書士が取得要件を解説 もご覧ください。
賃貸マンション・アパートでも申請できる?
賃貸マンションやアパートであっても、 建設業の営業所として使用できる場合があります。
ただし、自己所有物件と異なり、 賃貸物件の場合には その物件を事業用の営業所として使用できるか という点に注意が必要です。
まず確認したいのが賃貸借契約書です。
契約内容が「居住用のみ」とされている場合などには、 営業所としての使用について 貸主や管理会社との関係を確認する必要が生じることがあります。
建設業許可の要件だけではなく、 物件の使用条件との関係も確認する必要があります。
自宅兼事務所の場合は生活スペースと分ける必要がある?
自宅兼事務所の場合、 「完全に別の部屋でなければ申請できないのか」 と気になる方もいると思います。
重要なのは、 実際にその場所で建設業に関する営業活動を継続して行える状態になっているかです。
自宅の一部を営業所として使用する場合には、 事務所として使用している場所や設備の状況などを整理し、 建設業の営業所としての実態を説明できるようにしておくことが重要です。
具体的にどのような資料が必要になるかは、 物件の状況や申請先の取扱いを確認して準備します。
営業所には営業所技術者等を置く必要がある
建設業許可では、 営業所という「場所」だけを用意すればよいわけではありません。
許可を受けて建設業を営む営業所には、 許可業種に対応する 営業所技術者等 を置く必要があります。
営業所技術者等になるためには、 対象業種に応じた国家資格、学歴と実務経験、 一定期間の実務経験などの要件を満たす必要があります。
営業所として使用できる場所があっても、 その営業所に必要な営業所技術者等を置けなければ、 建設業許可の要件を満たすことはできません。
営業所技術者等の役割や、 資格・実務経験の要件については、 建設業許可の営業所技術者等とは?資格・実務経験の要件を行政書士が解説 で詳しく解説しています。
国家資格を持っていない場合については、 資格なしでも建設業許可は取れる?実務経験10年など取得方法を行政書士が解説 をご覧ください。
実務経験10年を使用する場合の具体的な証明方法については、 建設業許可の実務経験10年の証明方法 で解説しています。
自宅と別の場所に資材置場がある場合は?
建設業を営んでいる方の中には、 自宅を事務所として使用し、 別の場所に資材置場や倉庫を設けているケースがあります。
建設業法上の営業所に該当するかどうかは、 単に資材や工具を保管しているかではなく、 その場所で建設工事の請負契約に関する営業活動を行っているかなどによって判断します。
そのため、 単なる資材置場や倉庫であれば、 通常はそれだけで建設業法上の営業所になるわけではありません。
工事現場の事務所は営業所になる?
特定の建設工事を行うために、 工事現場に一時的な事務所を設置することがあります。
このような特定の目的のために臨時に設置される 工事事務所や作業所は、 通常、建設業法上の営業所とは区別して考えます。
建設業法上の営業所は、 継続的に建設業の営業を行う拠点であることが基本です。
バーチャルオフィスで建設業許可は取れる?
バーチャルオフィスを利用している場合には注意が必要です。
建設業法上の営業所には、 見積りや契約など建設業に関する営業を行う 実態が求められます。
そのため、 単に住所や郵便受取サービスだけを利用していて、 その場所で建設業の営業を行う実態がない場合には、 営業所として扱うことは難しいと考えられます。
営業所の場所で知事許可・大臣許可が変わる
建設業許可では、 営業所をどこに設けるかによって、 都道府県知事許可になるか国土交通大臣許可になるかが変わります。
| 営業所の設置状況 | 許可区分 |
|---|---|
| 1つの都道府県内だけに営業所を設ける | 都道府県知事許可 |
| 2つ以上の都道府県に営業所を設ける | 国土交通大臣許可 |
例えば、 札幌市だけに建設業の営業所を設ける場合には、 基本的に北海道知事許可となります。
一方で、 北海道と東京都の両方に建設業法上の営業所を設ける場合には、 国土交通大臣許可を検討することになります。
知事許可と大臣許可の区分は、 基本的に建設業の営業所をどの都道府県に設けるかによって決まります。
札幌で建設業許可を申請する場合の営業所
札幌市に主たる営業所を置き、 北海道内だけに建設業の営業所を設ける場合には、 基本的に北海道知事許可を申請することになります。
一人親方・個人事業主で自宅を営業所としている場合でも、 自宅であることだけで申請できないわけではありません。
まずは次のような事項を確認しておくと、 営業所要件を整理しやすくなります。
- 営業所として使用する住所
- 自己所有か賃貸か
- 賃貸の場合は賃貸借契約の内容
- 実際に建設業の営業を行っている場所
- 事務所として使用しているスペース
- 見積り・契約等をどこで行っているか
- 営業所技術者等となる人
- 他の都道府県にも営業所があるか
これらを整理したうえで、 実際の営業所の状況に応じて必要資料を確認していきます。
札幌で建設業許可を取得するまでの手続き全体については、 札幌で建設業許可を取得する流れ をご覧ください。
手稲区に営業所がある事業者については、 札幌市手稲区で建設業許可を取得するには? でも地域に絞って解説しています。
営業所だけでは建設業許可は取れない
営業所としての要件を満たしていても、 それだけで建設業許可を取得できるわけではありません。
建設業許可では、 営業所のほかにも複数の要件を確認する必要があります。
- 常勤役員等を含む適切な経営体制があること
- 営業所技術者等の要件を満たすこと
- 財産的基礎・金銭的信用があること
- 必要な社会保険等の届出をしていること
- 欠格要件に該当しないことなど
建設業許可の要件全体については、 建設業許可の要件 で詳しく解説しています。
経営体制については、 建設業許可の常勤役員等とは?必要な経験・要件と証明方法を行政書士が解説 をご覧ください。
過去の経営経験の考え方については、 建設業許可の経営経験5年とは?役員・個人事業主の経験と証明方法を行政書士が解説 で解説しています。
一般建設業の財産的基礎については、 建設業許可の500万円とは?自己資本・残高証明・赤字の場合を行政書士が解説 をご覧ください。
営業所の500万円要件と工事金額の500万円は別
建設業許可について調べていると、 「500万円」という金額が複数の場面で出てきます。
一般建設業の許可要件として問題となる 財産的基礎の500万円と、 許可が必要かどうかを判断するときに問題となる 工事の請負代金500万円は、まったく別の基準です。
| 500万円の基準 | 意味 |
|---|---|
| 財産的基礎の500万円 | 一般建設業許可を取得する際の財産的基礎・金銭的信用に関する基準 |
| 工事金額の500万円 | 建築一式工事以外について、許可が必要となる工事かどうかを判断する際の基準 |
工事金額の判断については、 税込・税抜のどちらで判断するのか、 材料費を含めるのかなど注意点があります。
詳しくは、 建設業許可が必要な500万円以上の工事とは?判断基準・税込金額・材料費を行政書士が解説 をご覧ください。
建設業許可の営業所についてよくある質問
Q. 一人親方でも自宅を営業所にできますか?
Q. 賃貸マンションでも建設業許可を申請できますか?
Q. 自宅とは別に事務所を借りないといけませんか?
Q. 営業所には営業所技術者等が必要ですか?
Q. 資材置場も営業所として申請する必要がありますか?
Q. 登記上の本店なら営業所として認められますか?
Q. バーチャルオフィスでも申請できますか?
Q. 北海道知事許可だと北海道外で工事できませんか?
まとめ|自宅・賃貸でも営業所として申請できる場合がある
建設業許可の営業所は、 必ずしも専用の事務所を新たに借りなければならないわけではありません。
一人親方や個人事業主が自宅を営業所としている場合や、 賃貸物件を事務所として使用している場合でも、 営業所としての実態などを確認できれば申請できる可能性があります。
一方で、 単に住所を置いているだけの場合や、 実際には建設業の営業を行っていない場所については注意が必要です。
また、営業所を確保するだけではなく、 その営業所に営業所技術者等を置くことも建設業許可の重要な要件です。
特に賃貸物件の場合には、 建設業許可上の営業所要件だけではなく、 賃貸借契約の内容なども事前に確認しておくとよいでしょう。
自宅・賃貸で建設業許可を申請できるか確認します
「自宅を営業所にして許可を取りたい」 「賃貸マンションでも申請できるか知りたい」 「現在の事務所で営業所要件を満たせるか分からない」など、 現在の営業所の状況を確認したうえで申請方法を整理します。
札幌市で建設業許可をご検討中の方は、 行政書士トリキ法務事務所へご相談ください。

