建設業許可の常勤役員等とは?必要な経験・要件と証明方法を行政書士が解説
建設業許可を取得するための重要な要件の一つが、 「建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」です。
その中で重要になるのが「常勤役員等」です。
札幌で建設業許可をご検討中の方からも、 「会社の代表取締役なら常勤役員等になれるのか」 「役員経験が5年あればいいのか」 「個人事業主としての経験も使えるのか」 といったご相談があります。
法人の場合は常勤の役員のうち1人、個人の場合は本人または支配人のうち1人が、 建設業に関する一定の経営経験などの要件を満たす必要があります。
この記事では、建設業許可における常勤役員等について、 必要となる経験年数、法人役員・個人事業主の経験、 常勤性や証明方法まで行政書士が解説します。
目次
- 1 建設業許可の「常勤役員等」とは?
- 2 常勤役員等になるための代表的な要件
- 3 「経営業務の管理責任者としての経験」とは?
- 4 法人の役員経験は使える?
- 5 個人事業主の経験も使える?
- 6 法人役員と個人事業主の経験は通算できる?
- 7 以前とは違う建設業種の経験でも使える?
- 8 「常勤」であることも必要
- 9 常勤役員等の経験は何で証明する?
- 10 5年以上経験があっても証明できなければ問題になる
- 11 常勤役員等と営業所技術者等は同じ人でもいい?
- 12 5年の経営経験がない場合はどうする?
- 13 常勤役員等と「実務経験10年」は違う
- 14 札幌で建設業許可を申請する場合
- 15 常勤役員等について最初に確認したいこと
- 16 まとめ|常勤役員等は経験年数と証明資料の確認が重要
- 17 札幌で建設業許可をご検討中の方へ
建設業許可の「常勤役員等」とは?
建設業許可を取得するには、 建設業の経営を適正に行うための経営能力が求められます。
法人の場合は常勤の役員のうち1人、 個人事業主の場合は本人または支配人のうち1人が、 法令で定められた一定の経験等を有していることが必要です。
これが一般に「常勤役員等」と呼ばれるものです。
「代表取締役だから自動的に要件を満たす」 というわけではありません。
役員等としての立場だけでなく、 建設業に関する経営経験の内容・期間などを確認する必要があります。
常勤役員等になるための代表的な要件
最も分かりやすいのが、 建設業に関して5年以上、経営業務の管理責任者としての経験を有しているケース です。
例えば、建設業を営む会社の取締役として経営業務を管理していた経験や、 建設業を営む個人事業主として経営していた経験などが検討対象になります。
| 主なケース | 必要となる経験の概要 |
|---|---|
| 経営業務の管理責任者 | 建設業に関し5年以上、経営業務の管理責任者としての経験 |
| 経営業務の管理責任者に準ずる地位 | 建設業に関し5年以上、経営業務を執行する権限の委任を受け、経営業務を管理した経験 |
| 経営業務を補佐した経験 | 建設業に関し6年以上、経営業務の管理責任者に準ずる地位で経営業務を補佐した経験 |
| 一定の役員等の経験+直接補佐者 | 一定の役員等としての経験を有する常勤役員等に加え、財務管理・労務管理・業務運営について一定の経験を持つ直接補佐者を配置する方法 |
実際には複数の要件ルートがあるため、 「5年の経験がない=建設業許可を絶対に取得できない」 とは限りません。
一方、準ずる地位や補佐経験などを利用するケースでは、 その地位・権限・業務内容について個別の確認が重要になります。
「経営業務の管理責任者としての経験」とは?
ここでいう経営経験は、 単に建設会社に勤務していた経験ではありません。
建設業の経営業務について、 対外的に責任を有する立場などで 総合的に管理した経験が問題になります。
代表的には、次のような経験が検討対象となります。
- 建設会社の取締役としての経営経験
- 建設業を営む個人事業主としての経験
- 登記された支配人としての経験
- 一定の権限を持つ支店長・営業所長等としての経験
どのような地位にあり、建設業の経営についてどのような業務を行っていたのかが重要です。
法人の役員経験は使える?
建設業を営む法人の役員として、 必要な期間、経営業務を管理していた場合には、 その経験を常勤役員等の要件確認に使用できる可能性があります。
例えば株式会社の場合、 取締役として建設業の経営に携わっていた期間などが検討対象になります。
ただし、「役員」という肩書きだけで判断するのではなく、 その法人が実際に建設業を営んでいたことや、 本人がその期間に役員等の地位にあったことなどを 資料によって確認する必要があります。
個人事業主の経験も使える?
建設業を営む個人事業主としての経験も、 常勤役員等の要件を判断する際の経営経験として 使用できる可能性があります。
例えば、一人親方として独立し、 個人事業主として建設工事を継続して請け負っていた場合です。
ただし、単に開業届を提出してから5年以上経過しているだけではなく、 その期間に実際に建設業を営んでいたことを 確認できる資料が重要になります。
一人親方・個人事業主の建設業許可については、 一人親方でも建設業許可は取れる?札幌の行政書士が取得要件を解説 で詳しく解説しています。
法人役員と個人事業主の経験は通算できる?
過去の建設会社での役員経験と、 独立後の個人事業主としての経営経験など、 複数の期間を組み合わせて要件を確認できる場合があります。
例えば、 「建設会社の役員として3年、その後個人事業主として建設業を2年」 というようなケースでは、 それぞれの経験の内容と証明資料を確認したうえで、 通算できるかを検討します。
過去の法人役員としての経験や個人事業主としての経験などを含めて、 要件を満たせる可能性があります。
経営経験5年の考え方について詳しくは、 建設業許可の経営経験5年とは?役員・個人事業主の経験と証明方法を行政書士が解説 をご覧ください。
以前とは違う建設業種の経験でも使える?
現在の制度では、 経営業務の管理責任者としての経験について、 許可を取得しようとする建設業種と同じ業種だけに限定して 5年間の経験を求める仕組みではありません。
そのため、例えば過去に別の建設業種を営む会社で 経営業務の管理責任者として必要な経験を有している場合でも、 常勤役員等の要件を満たせる可能性があります。
ただし、営業所技術者等の要件は別に確認する必要があります。
経営経験を満たしていても、取得したい業種について必要な資格・実務経験等を有する営業所技術者等がいなければ、許可を取得できません。
「常勤」であることも必要
法人の場合、要件を満たす経験があるだけでなく、 原則としてその法人の常勤の役員であることが必要です。
一般に常勤とは、 本社・本店等において、 休日その他勤務を要しない日を除き、 一定の計画のもとに日常的にその職務に従事している状態をいいます。
そのため、 「名前だけ取締役として登記されている」 「普段は別の会社で勤務している」 といったケースでは、 常勤性について問題となる可能性があります。
常勤役員等の経験は何で証明する?
建設業許可申請では、 「私は5年以上経営していました」と申告するだけではなく、 必要な経験について資料で確認できることが重要です。
必要となる資料は、 法人役員としての経験なのか、 個人事業主としての経験なのか、 過去に許可を受けていた建設業者での経験なのかなどによって異なります。
法人役員としての経験を確認する資料
ケースに応じて、例えば次のような資料を確認します。
- 履歴事項全部証明書・閉鎖事項証明書など
- 過去の建設業許可関係書類
- 工事請負契約書
- 注文書・注文請書
- 請求書などの工事実績を確認できる資料
個人事業主としての経験を確認する資料
個人事業主の場合には、例えば次のような資料を確認します。
- 確定申告書
- 工事請負契約書
- 注文書・注文請書
- 請求書
- 入金を確認できる資料
- 過去の建設業許可関係書類など
実際に必要となる資料は申請内容や過去の状況によって異なるため、 申請前に証明方法を整理することが重要です。
5年以上経験があっても証明できなければ問題になる
建設業許可申請で実務上重要なのが、 「経験があること」と「その経験を証明できること」は別である という点です。
実際には長期間建設業を経営していても、 過去の資料が残っていないため、 必要な期間を確認することが難しくなるケースがあります。
特に個人事業主として長期間営業してきた方の場合は、 古い確定申告書や工事関係資料が残っているかを 早めに確認しておくことをおすすめします。
常勤役員等と営業所技術者等は同じ人でもいい?
常勤役員等と営業所技術者等は、 建設業許可上それぞれ別の要件です。
ただし、それぞれの要件を満たし、 勤務場所や常勤性などに問題がなければ、 同一人物が両方を兼ねることができる場合があります。
例えば一人親方・小規模な法人では、 代表者本人が経営経験の要件を満たし、 さらに取得したい業種に対応する資格を持っているケースがあります。
このような場合には、 代表者本人を常勤役員等と営業所技術者等の双方として 申請できるかを確認します。
5年の経営経験がない場合はどうする?
代表者本人に5年以上の経営経験がないからといって、 直ちに建設業許可を取得できないと決まるわけではありません。
例えば、法人であれば、 要件を満たす別の常勤役員がいるかを確認する方法があります。
また、法令上は、 経営業務の管理責任者に準ずる地位での経験や、 一定の役員等としての経験と直接補佐者を組み合わせる方法なども設けられています。
ただし、このようなケースは 通常の「5年以上の経営経験」で申請する場合よりも 地位・権限・業務経験等の確認が複雑になることがあります。
常勤役員等と「実務経験10年」は違う
建設業許可では、 「経営経験5年」と「実務経験10年」が混同されることがあります。
しかし、この2つは基本的に別の要件です。
| 項目 | 主な意味 |
|---|---|
| 経営経験5年 | 常勤役員等の経営能力に関する要件を確認する際の代表的な経験 |
| 実務経験10年 | 一定の場合に営業所技術者等の要件を満たすために使用する実務経験 |
実務経験10年によって営業所技術者等の要件を満たす場合の証明方法については、 建設業許可の実務経験10年を証明するには?必要書類・証明方法を行政書士が解説 をご覧ください。
札幌で建設業許可を申請する場合
札幌市に主たる営業所を置き、 北海道内のみに建設業を営む営業所を設ける場合は、 基本的に北海道知事許可を検討します。
申請にあたっては、 常勤役員等がどの要件に該当するのかだけではなく、 その経験をどの資料で証明するのかを事前に整理することが重要です。
特に、 過去の会社での役員経験を使用する場合や、 個人事業主としての経験と法人役員としての経験を組み合わせる場合などは、 早い段階で経歴と保有資料を確認しておくと申請方針を立てやすくなります。
常勤役員等について最初に確認したいこと
建設業許可のご相談では、 まず次の内容を整理すると、 常勤役員等の要件を満たせる可能性を判断しやすくなります。
- 現在の会社の役員構成
- 常勤役員となる予定の方
- 過去に建設会社の役員をしていた期間
- 個人事業主として建設業を営んでいた期間
- 過去に勤務・経営していた会社が建設業許可を持っていたか
- 確定申告書が何年分残っているか
- 工事請負契約書・注文書・請求書などが残っているか
- 現在、他社で勤務や役員就任をしていないか
これらを確認することで、 「5年以上の経営経験で申請できるのか」 「複数の経験を組み合わせる必要があるのか」 「どの資料を集める必要があるのか」 を整理しやすくなります。
まとめ|常勤役員等は経験年数と証明資料の確認が重要
建設業許可では、 適正な経営体制を備えていることが重要な許可要件の一つです。
法人の場合は常勤役員のうち1人、 個人の場合は本人または支配人のうち1人について、 一定の経営経験等を満たす必要があります。
代表的なのは、 建設業に関して5年以上、経営業務の管理責任者としての経験を有するケース です。
一方で、 法人役員と個人事業主の経験を組み合わせられる場合や、 別の要件によって適正な経営体制を満たせる場合もあります。
そのため、 「5年以上あるか」だけではなく、 どの立場で、どの期間、建設業を経営し、その経験を何によって証明できるのか まで確認することが重要です。
札幌で建設業許可をご検討中の方へ
「自分の役員経験で要件を満たせるのか」 「個人事業主の経験を使えるのか」 「以前の会社での経験を証明できるのか」など、 現在までの経歴と資料を確認したうえで申請方法を整理します。
札幌市で建設業許可をご検討中の方は、 行政書士トリキ法務事務所へご相談ください。

