おひとりさまの終活・認知症対策|任意後見・死後事務・遺言を行政書士が解説

おひとりさまの終活では、 「認知症などで判断能力が低下した後」と 「亡くなった後」の両方に備えておくことが重要です。

元気なうちは一人で生活できていても、 病気や認知症によって判断能力が低下すると、 預貯金の管理、介護サービスや施設との契約などを 自分だけで行うことが難しくなる場合があります。

さらに亡くなった後には、 葬儀・納骨・住居の明渡し・契約の解約など、 本人自身では行うことのできない手続きが残ります。

この記事では、 おひとりさまが元気なうちに検討しておきたい 見守り・財産管理・任意後見・死後事務・遺言などの対策 を行政書士が解説します。

身近に頼れる家族がいない将来に不安がある方へ

「認知症になったら誰に財産管理を頼めばいい?」
「亡くなった後の葬儀や手続きを頼める人がいない」
「何から準備すればよいか分からない」

このような段階から、必要な準備を一緒に整理できます。

おひとりさまはなぜ早めの終活が重要?

「おひとりさま」といっても、 必ずしも法律上の親族がまったくいないという意味ではありません。

配偶者や子どもがいない方、 親族が遠方に住んでいる方、 親族はいても日常的な支援を頼みにくい方など、 状況はさまざまです。

重要なのは、 「自分が手続きをできなくなったときに、 実際に頼れる人がいるか」 という点です。

認知症になったとき 預貯金の管理や契約などを 自分で行うことが難しくなる可能性があります。
入院・施設入所するとき 契約、支払い、緊急連絡など、 周囲の支援が必要になることがあります。
亡くなったとき 葬儀、納骨、住居の明渡し、 各種契約の解約などが必要になります。
相続が発生したとき 遺言がなければ、 原則として法律上の相続人が財産を承継します。
おひとりさまの終活で大切なのは、 「財産を誰に残すか」だけではありません。
生きている間の支援と、 亡くなった後の手続きを 誰に任せるのかまで考えておくことが重要です。

おひとりさまが考えておきたい6つの対策

おひとりさまの将来への備えとしては、 主に次のような制度や準備があります。

① 見守り 元気な段階から定期的に連絡を取り、 生活状況などを確認してもらう。
② 財産管理等の委任 判断能力がある段階から、 必要な財産管理や手続きを依頼する。
③ 任意後見 将来判断能力が低下した場合に 支援してもらう人を決めておく。
④ 死後事務委任 葬儀・納骨・住居の明渡しなど 亡くなった後の手続きを依頼する。
⑤ 遺言書 自分の財産を 誰にどのように承継してほしいか決めておく。
⑥ 医療・終末期の希望 医療や終末期について 自分の希望を整理し、関係者と共有しておく。

1.見守り|元気な段階からつながりを作る

1 定期的に生活状況を確認してもらう

身近に頼れる家族や親族がいない場合には、 定期的に連絡や訪問をしてもらう 「見守り」を準備する方法があります。

見守りでは、 定期的な電話・面談・訪問などによって、 本人の生活状況に大きな変化がないかを確認します。

特に任意後見契約を締結している場合、 本人の判断能力が低下しても周囲が気付かなければ、 任意後見を開始するための手続きにつながらない可能性があります。

そのため、 おひとりさまの場合には 任意後見と見守りを組み合わせて準備することも考えられます。

2.財産管理等の委任|元気なうちから支援してもらう

2 判断能力がある段階の支援

認知症ではないものの、 高齢や身体上の理由から 銀行や役所などへ行くことが難しくなることがあります。

このような場合には、 必要に応じて 財産管理等委任契約 を検討することがあります。

例えば、

  • 預貯金に関する手続き
  • 各種支払い
  • 行政機関等での手続き
  • 契約に関する事務

などについて、 契約で定めた範囲の事務を 信頼できる人へ依頼します。

財産管理等委任契約と任意後見契約は役割が異なります。
将来の判断能力低下まで考える場合には、 任意後見契約と組み合わせて準備する方法もあります。

3.任意後見|認知症になった後に備える

3 将来支援してもらう人を元気なうちに決める

おひとりさまの認知症対策として 特に検討したい制度の一つが 任意後見制度です。

任意後見では、 本人に十分な判断能力があるうちに、 将来自分の判断能力が低下した場合に 支援してもらう人と支援内容を決めておきます。

任意後見契約は、 公正証書 によって締結します。

契約を締結しただけで、 直ちに任意後見人としての権限が生じるわけではありません。

その後、 本人の判断能力が不十分になり、 家庭裁判所によって 任意後見監督人が選任されると、 任意後見契約の効力が生じます。

任意後見の大きな特徴
本人が元気なうちに、 将来支援してもらう人を 自分自身で決めておくことができます。

準備していなかった場合は法定後見になることも

任意後見契約を締結しないまま 判断能力が不十分になり、 本人に代わって財産管理や契約を行う必要が生じた場合には、 法定後見制度を検討することがあります。

法定後見では、 成年後見人等を選任するのは家庭裁判所です。

本人や親族が特定の人を候補者として希望したとしても、 必ずその人が選任されるわけではありません。

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4.死後事務委任|亡くなった後の手続きを任せる

4 自分ではできない「死後の手続き」を準備する

おひとりさまの終活では、 亡くなった後に誰が手続きをするのか も重要な問題です。

本人が亡くなると、 本人自身では当然、 必要な手続きを行うことができません。

そこで、 元気なうちに 死後事務委任契約 を締結し、 亡くなった後の事務を第三者へ依頼しておく方法があります。

契約内容に応じて、 例えば次のような事務を依頼します。

  • 死亡後の関係者への連絡
  • 葬儀・火葬に関する手続き
  • 納骨に関する手続き
  • 病院・施設等への支払い
  • 住居の明渡し
  • 家財の整理
  • 電気・ガス・水道などの手続き
  • 携帯電話・インターネット等の解約
任意後見と死後事務委任は別のものです。
任意後見人の権限は、 原則として本人が亡くなると終了します。 亡くなった後の事務まで依頼したい場合には、 死後事務委任契約などを別途検討します。
「自分が亡くなった後を頼める人がいない」という方へ

葬儀・納骨・住居の明渡し・契約の解約など、 亡くなった後に残る手続きを 元気なうちから整理しておくことができます。

5.遺言書|財産を誰に残すか決める

5 財産の承継先を決める

おひとりさまの終活では、 遺言書 についても検討しておきたいところです。

遺言書がない場合には、 原則として法律で定められた相続人が 財産を相続します。

そのため、

  • 特定の親族へ財産を残したい
  • 相続人ではない人へ財産を残したい
  • お世話になった人へ財産を残したい
  • 団体や法人などへ遺贈したい

といった希望がある場合には、 遺言書の作成を検討します。

遺言執行者も検討する

おひとりさまの場合には、 遺言内容だけでなく、 誰がその遺言を実現するのか についても考えておくことが重要です。

遺言書によって 遺言執行者を指定しておく方法があります。

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6.医療・終末期について希望を整理する

6 自分で意思表示できなくなった場合に備える

認知症や病気によって 自分の意思を十分に伝えられなくなる場合も 考えておく必要があります。

どのような医療やケアを希望するのかについて、 元気なうちから考え、 信頼できる人や医療・介護関係者と 話し合っておくことも重要です。

終末期の医療について、 自分自身の意思を書面に残す方法の一つとして 尊厳死宣言公正証書などが検討される場合もあります。

医療についての希望は、関係者とも共有しておくことが重要です。
本人が作成した書面によって、 あらゆる医療行為について 法的に医療機関を拘束できるという意味ではありません。 本人の意思を医療・介護関係者や 信頼できる人と共有しておくことも重要です。

身元保証はどうする?

おひとりさまの場合、 入院や高齢者施設への入居の際に 「身元保証人」「身元引受人」などを 求められることがあります。

身近に対応できる親族等がいない場合には、 民間の身元保証サービスなどを 検討することがあります。

身元保証サービスは契約内容を十分確認してください。
提供する事業者によって、 サービス内容・料金・預託金・解約条件・ 死後事務の範囲などが異なります。

特に、 財産管理・身元保証・死後事務などを 同じ事業者へまとめて依頼する場合には、 契約内容や財産管理方法を 十分確認することが重要です。

おひとりさまの終活は「時間軸」で考える

さまざまな制度があるため、 何を準備すればよいのか 分からなくなることがあります。

その場合は、 いつ必要になる制度なのか という時間軸で整理すると分かりやすくなります。

元気なとき 見守り・財産管理等の委任・ 遺言・任意後見契約などを準備する。
判断能力が低下したとき 任意後見などによって 財産管理や必要な法律行為を支援してもらう。
亡くなったとき 死後事務委任によって 契約で定めた葬儀・納骨・契約解約などの 死後事務を行う。
財産の承継 遺言がある場合には、 その内容に基づいて必要な手続きを進める。
おひとりさまの終活は、 「元気なとき → 判断能力低下後 → 死亡後」 の時間軸で考えると整理しやすくなります。
遺言だけ、任意後見だけではなく、 自分が支援を必要とする時期ごとに 誰が何を行うのかを確認しておきましょう。

全部の契約が必要なわけではない

おひとりさまだからといって、 見守り・財産管理・任意後見・死後事務・遺言などを すべて契約しなければならないわけではありません。

必要な準備は、

  • 年齢
  • 健康状態
  • 家族・親族との関係
  • 頼れる人がいるか
  • 財産の種類・金額
  • 現在の住居
  • 将来どのような生活を希望するか
  • 亡くなった後の希望

などによって異なります。

大切なのは「契約をたくさん作ること」ではありません。
自分ができなくなったときに 「誰に・何を・いつから・どこまで任せるのか」 を整理し、必要な制度を組み合わせることです。

まず確認したいチェックリスト

何から考えればよいか分からない場合には、 次の項目を確認してみてください。

  • 緊急時に連絡できる人はいるか
  • 入院したときに頼れる人はいるか
  • 認知症になったとき財産管理を頼める人はいるか
  • 将来の施設入所などの手続きを頼める人はいるか
  • 葬儀・火葬・納骨を頼める人はいるか
  • 住居の明渡しや家財整理を頼める人はいるか
  • 財産を誰に残したいか決まっているか
  • 遺言書を作成しているか

「頼める人がいない」という項目がある場合には、 その部分から対策を検討すると整理しやすくなります。

チェックして不安な項目があった方へ

すべてを一度に決める必要はありません。 現在の状況から、 優先して準備するものを整理できます。

元気なうちに準備することが重要

おひとりさまの終活で特に重要なのが、 本人に十分な判断能力があるうちに準備を始めること です。

任意後見契約や遺言書などは、 本人の意思に基づいて作成するものです。

判断能力が大きく低下してからでは、 本人が希望する内容で契約や遺言を作成することが 難しくなる可能性があります。

おひとりさまの終活について詳しく知りたい方へ

まとめ|おひとりさまは「生前」と「死後」の両方に備える

おひとりさまの終活では、 遺言書だけを作成すれば すべての問題に対応できるわけではありません。

元気な段階の見守りや財産管理、 判断能力が低下した場合の任意後見、 亡くなった後の死後事務、 財産を承継するための遺言など、 それぞれ役割が異なります。

「自分が認知症になったら誰に頼るのか」 「亡くなった後は誰に任せるのか」 を元気なうちから考えておくことが重要です。

まずは自分の家族関係・財産・住居・希望を整理し、 必要な制度から順番に準備していきましょう。

札幌でおひとりさまの終活をご検討の方へ

行政書士トリキ法務事務所では、 ご本人の状況や将来の希望を確認しながら、 任意後見・財産管理等委任・遺言・死後事務など、 生前から亡くなった後までの備えについて ご相談をお受けしています。

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