遺言書を作った方がいい人10のケース|必要性が高い人を行政書士が解説
「遺言書は財産が多い人だけが作るもの」 と思っていませんか?
実際には、財産の金額よりも 家族構成や財産の内容によって、 遺言書の必要性が高くなるケースがあります。
例えば、子どものいない夫婦、前婚の子がいる方、 内縁の配偶者がいる方、 相続人同士の関係が良くない方などは、 遺言書を作成するメリットが大きくなることがあります。
この記事では、 遺言書を作った方がいい代表的な10のケースを 札幌市の行政書士が解説します。
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目次
- 1 遺言書を作った方がいい人10のケース
- 2 ① 子どものいない夫婦
- 3 ② 離婚歴があり、前婚の子がいる
- 4 ③ 内縁の配偶者・事実婚のパートナーがいる
- 5 ④ 特定の子に多く財産を残したい
- 6 ⑤ 相続人同士の関係が良くない
- 7 ⑥ 自宅など不動産が財産の大部分を占める
- 8 ⑦ 相続人以外の人に財産を残したい
- 9 ⑧ 個人事業・会社経営をしている
- 10 ⑨ 相続人に認知症などで判断能力が低下した方がいる
- 11 ⑩ おひとりさま・身寄りが少ない
- 12 遺言書があれば相続トラブルを完全に防げる?
- 13 自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらがいい?
- 14 遺言書を作る前に確認しておきたいこと
- 15 遺言書についてよくある質問
- 16 遺言書についてあわせて読みたい記事
- 17 まとめ|「自分には必要ない」と決める前に相続関係を確認する
- 18 札幌で遺言書の作成をご検討の方へ
遺言書を作った方がいい人10のケース
| ケース | 遺言書を検討する主な理由 |
|---|---|
| ① 子どものいない夫婦 | 配偶者だけでなく、親や兄弟姉妹などが相続人になる可能性がある |
| ② 前婚の子がいる | 現在の配偶者と前婚の子が共同相続人になる可能性がある |
| ③ 内縁の配偶者がいる | 内縁の配偶者には原則として法定相続権がない |
| ④ 特定の子に多く財産を残したい | 法定相続分とは異なる財産配分を遺言で指定できる |
| ⑤ 相続人同士の関係が良くない | 遺産分割協議がまとまらない可能性がある |
| ⑥ 不動産が財産の大部分を占める | 現金のように簡単に分けることができない |
| ⑦ 相続人以外に財産を残したい | 法定相続人ではない人には原則として相続権がない |
| ⑧ 事業をしている | 事業用財産や株式などの承継先を検討する必要がある |
| ⑨ 相続人に判断能力の低下した方がいる | 遺産分割協議が難しくなる可能性がある |
| ⑩ おひとりさま・身寄りが少ない | 希望する人や団体へ財産を残すための準備が必要になる |
① 子どものいない夫婦
子どものいないご夫婦は、 遺言書の必要性が高い代表的なケースです。
例えば夫が亡くなり、 子どもがおらず、 夫の両親などの直系尊属もすでに亡くなっている場合、 妻だけが相続人になるとは限りません。
夫に兄弟姉妹がいれば、 妻と夫の兄弟姉妹が共同相続人 となります。
兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合には、 その子である甥・姪が相続人になることもあります。
遺言書がなければ、 原則として妻はこれらの相続人と 遺産分割について協議する必要があります。
なお、兄弟姉妹には遺留分がありません。 そのため、 配偶者へ財産を残す遺言を検討しやすいケースでもあります。
子どものいない夫婦に遺言書が必要な理由 →
② 離婚歴があり、前婚の子がいる
離婚した元配偶者には、 原則として相続権はありません。
しかし、 前婚の配偶者との間に生まれた子には相続権があります。
例えば、 前妻との間に子がおり、 現在は再婚している場合、 本人が亡くなると、 現在の配偶者と前婚の子が共同相続人となることがあります。
現在の家族と前婚の子に交流がほとんどなくても、 相続権がなくなるわけではありません。
遺言書がない場合には、 預貯金だけでなく、 現在の配偶者が住んでいる自宅についても 遺産分割の対象となる可能性があります。
③ 内縁の配偶者・事実婚のパートナーがいる
長期間一緒に生活していたとしても、 法律上の婚姻をしていない内縁の配偶者には、 原則として法定相続権がありません。
そのため、 何も準備しないまま本人が亡くなると、 本人の財産は法定相続人へ承継されることになります。
内縁の配偶者へ財産を残したい場合には、 遺言による遺贈などを検討することが重要です。
④ 特定の子に多く財産を残したい
子どもが複数いる場合でも、 家庭の事情はそれぞれ異なります。
例えば、
- 長期間親の介護をしてくれた子がいる
- 同居している子に自宅を残したい
- 家業を継ぐ子に事業用財産を残したい
といったケースがあります。
遺言書を作成することで、 法定相続分とは異なる財産の承継方法を指定できます。
ただし、 他の子などには遺留分があるため、 遺言内容を決める際には 遺留分への配慮が必要です。
遺言書を書くなら遺留分に注意|割合・計算方法を解説 →
⑤ 相続人同士の関係が良くない
遺言書がない場合には、 相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。
相続人同士の関係が良くない場合、 財産の金額がそれほど大きくなくても、 遺産分割協議がまとまらないことがあります。
遺言書によって 「誰に、どの財産を承継させるのか」を あらかじめ明確にしておくことで、 遺産分割協議を行わずに 手続きを進められる財産もあります。
また、遺言書には 付言事項として、 家族への思いや遺言内容を決めた理由を書くこともできます。
付言事項自体に法的な強制力はありませんが、 遺言者の考えを家族へ伝える手段になります。
⑥ 自宅など不動産が財産の大部分を占める
相続財産の大部分が 自宅や土地などの不動産の場合も、 遺言書を検討したいケースです。
現金であれば金額に応じて分けることができますが、 一つの不動産を複数人で 簡単に分割することはできません。
例えば、 相続人が長男と次男の2人で、 主な財産が2,000万円相当の自宅と 300万円の預貯金だった場合、 法定相続分どおりに分けるのは簡単ではありません。
誰に不動産を承継させるのかを遺言書で明確にし、 他の相続人への財産配分や遺留分も含めて 検討しておくことが重要です。
⑦ 相続人以外の人に財産を残したい
法律上の相続人ではない人に 財産を残したい場合にも、 遺言書が重要になります。
例えば、
- お世話になった人
- 子の配偶者
- 相続人ではない孫
- 友人
- 団体・法人
などです。
法定相続人でない人には、 原則として法定相続によって財産は渡りません。
遺言書による遺贈などを利用して、 財産を残す方法を検討します。
⑧ 個人事業・会社経営をしている
事業をしている方の場合には、 一般家庭の相続とは別に 事業承継も考える必要があります。
例えば、
- 会社の株式
- 事業用不動産
- 事業用車両
- 機械・設備
- 個人事業で使用している財産
などが相続財産となることがあります。
事業に必要な財産が複数の相続人へ分散すると、 事業の継続に影響する可能性があります。
後継者が決まっている場合には、 遺言だけでなく 事業承継全体として準備することが重要です。
⑨ 相続人に認知症などで判断能力が低下した方がいる
遺産分割協議を行うためには、 相続人がその内容を理解して 意思表示できることが必要です。
相続人の中に認知症などによって 判断能力が低下した方がいる場合、 その程度によっては 本人だけで有効な遺産分割協議を行うことが 難しい場合があります。
その場合には、 成年後見制度等の利用を 検討することがあります。
重要なのは、 本人が遺産分割の内容を理解し、 判断するために必要な意思能力があるかどうかです。
相続人に認知症の方がいる場合の遺産分割 →
⑩ おひとりさま・身寄りが少ない
配偶者や子どもがおらず、 身寄りが少ない方も 遺言書を検討するメリットがあります。
法定相続人がいない場合、 一定の手続きを経ても財産の承継先がいなければ、 最終的に財産が国庫に帰属することがあります。
例えば、
- お世話になった人へ財産を残したい
- 甥・姪へ財産を残したい
- 特定の団体へ寄付したい
といった希望がある場合には、 遺言書によって意思を残しておくことが重要です。
また、おひとりさまの場合には、 財産の承継だけでなく、 死亡後の葬儀・納骨・住居の明渡し・ 契約の解約なども問題になります。
そのため、 遺言書とあわせて 任意後見契約や死後事務委任契約 などを検討する場合もあります。
おひとりさまの認知症・終活対策について詳しく見る →
遺言書があれば相続トラブルを完全に防げる?
遺言書を作成すれば、 すべての相続トラブルを防げるわけではありません。
内容によっては、 遺留分侵害額請求が行われたり、 遺言の有効性をめぐって争いになったりする可能性もあります。
重要なのは、 単に遺言書を作ることではなく、
- 相続人を確認する
- 財産を確認する
- 遺留分を確認する
- 財産を誰に承継させたいか整理する
- 遺言執行について考える
といった点を踏まえて 内容を決めることです。
自筆証書遺言と公正証書遺言、どちらがいい?
代表的な遺言方式として、 自筆証書遺言と 公正証書遺言があります。
| 項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|
| 作成 | 原則として本人が自筆で作成 | 公証人が関与して作成 |
| 費用 | 比較的少ない | 公証人手数料等が必要 |
| 方式不備 | 自分で確認する必要がある | 公証人が関与するため方式不備のリスクを抑えやすい |
| 家庭裁判所の検認 | 原則必要。ただし法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した場合は不要 | 不要 |
財産内容や家族関係、 遺言内容などによって 適切な方法は異なりますが、 確実性を重視する場合には 公正証書遺言を検討することがあります。
公正証書遺言の作成手順・必要書類について詳しく見る →
遺言書を作る前に確認しておきたいこと
遺言書を作成する場合には、 まず次の内容を整理しておくとスムーズです。
- 家族・相続人の状況
- 預貯金
- 不動産
- 株式・有価証券
- その他の財産
- 借入金などの債務
- 生前贈与の状況
- 誰にどの財産を残したいか
最初から遺言内容を 完全に決めておく必要はありません。
相続関係と財産を整理してから、 どのような遺言内容にするか 検討していきます。
遺言書についてよくある質問
Q. 財産が少なくても遺言書は必要ですか?
Q. 子どもがいない場合は妻が全部相続するのではないですか?
Q. 前妻との子にも相続権がありますか?
Q. 内縁の妻に財産を残せますか?
Q. 遺言書を作れば遺産分割協議は不要ですか?
Q. 遺言書は一度作ったら変更できませんか?
遺言書についてあわせて読みたい記事
まとめ|「自分には必要ない」と決める前に相続関係を確認する
遺言書は、 財産が多い人だけが作るものではありません。
むしろ、 家族構成や財産の種類によって 遺産分割が複雑になりやすい方ほど、 遺言書を作るメリットが大きくなります。
特に、 子どものいない夫婦、 前婚の子がいる方、 内縁の配偶者がいる方、 相続人同士の関係が良くない方、 不動産が主な財産の方、 おひとりさまなどは、 一度遺言書の必要性を確認しておくことをおすすめします。
また、 遺言書だけでなく、 認知症への備えや亡くなった後の手続きまで 考える必要がある場合には、 任意後見や死後事務委任などを 組み合わせることもあります。
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