死後事務委任契約とは?できること・費用・遺言との違いを行政書士が解説
「自分が亡くなった後の葬儀や納骨を 頼める家族がいない」
「賃貸住宅の退去や家財の処分は 誰がしてくれるのだろう」
「子どもや親族に 死後の手続きを任せたくない」
このような死亡後の手続きに備える方法の一つが、 死後事務委任契約です。
葬儀・火葬・納骨、 病院や施設の費用精算、 住居の明渡し、 家財整理、 公共料金や各種サービスの解約など、 本人が死亡した後に残るさまざまな事務について あらかじめ取り決めます。
特に、 身寄りがない方、 おひとりさま、 親族と疎遠な方、 家族へ負担をかけたくない方にとって、 検討する価値の高い終活の一つです。
この記事では、 死後事務委任契約でできること・できないこと、 費用、遺言や任意後見との違い、 契約を検討した方がよいケースを、 札幌市の行政書士が解説します。
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目次
- 1 死後事務委任契約とは?
- 2 死後事務委任契約でできること
- 3 死後事務委任契約ではできないこと・注意が必要なこと
- 4 死後事務委任契約と遺言の違い
- 5 死後事務委任契約と任意後見の違い
- 6 死後事務委任契約の費用はいくら?
- 7 死後事務委任契約は公正証書にした方がいい?
- 8 死後事務委任契約を検討した方がいい人
- 9 死後事務委任だけで十分?
- 10 将来に備える4つの制度・契約
- 11 死後事務委任契約を作成する流れ
- 12 契約した後も内容を見直す
- 13 死後事務委任契約についてよくある質問
- 14 あわせて読みたい記事
- 15 まとめ|死後事務委任契約は「亡くなった後を誰に頼むか」を決める契約
- 16 札幌で死後事務委任契約をご検討中の方へ
死後事務委任契約とは?
死後事務委任契約とは、 本人が生前に、 自分が亡くなった後に必要となる事務を 第三者へ依頼しておく契約です。
本人が亡くなると、 当然ながら本人自身で 死亡後の手続きを行うことはできません。
しかし、 死亡後には、
- 親族や知人への死亡連絡
- 葬儀・火葬
- 納骨・供養
- 病院や施設との精算
- 賃貸住宅・施設の退去
- 家財や遺品の整理
- 公共料金等の解約
など、 多くの事務が残ります。
通常は家族や親族が対応することも多いですが、 家族がいない場合や、 親族へ依頼したくない場合には、 死亡後の対応者が決まっていないことがあります。
そこで、 本人に判断能力があるうちに 「自分が亡くなったら、この手続きをお願いします」 と契約しておくのが 死後事務委任契約です。
死後事務委任契約でできること
契約内容は、 本人の生活状況や希望によって異なります。
代表的な死後事務には、 次のようなものがあります。
1.親族・知人への死亡連絡
本人が亡くなったことを、 あらかじめ指定された 親族、友人、知人などへ連絡します。
誰に連絡してほしいのか、 連絡先を生前に整理しておくことが重要です。
2.葬儀・火葬に関する事務
希望する内容に応じて、 葬儀社との連絡や 葬儀・火葬に必要となる事務を行います。
例えば、
- 一般的な葬儀を希望する
- 家族葬を希望する
- できるだけ簡素な葬送を希望する
- 特定の葬儀社を利用したい
など、 本人の希望を事前に確認しておきます。
3.納骨・供養に関する事務
火葬後の遺骨を どのように扱うのかについても 準備できます。
例えば、
- 既存のお墓へ納骨する
- 納骨堂を利用する
- 永代供養を利用する
- 生前に契約した墓地等へ納骨する
などです。
葬儀だけでなく、 最終的に遺骨をどうするか まで決めておくことが重要です。
4.病院・施設等の費用精算
死亡時に入院していた病院や 入所していた施設について、 未払いとなっている費用の確認や 契約内容に応じた精算等を行います。
5.賃貸住宅・施設の退去に関する事務
賃貸住宅や施設で生活している場合には、 死亡後に居室を整理し、 退去・明渡しに向けた対応が 必要になることがあります。
鍵の返却や管理会社・施設との連絡なども含め、 契約内容に応じて必要な事務を整理します。
6.家財・遺品整理の手配
家具、家電、衣類など、 住居に残された家財について 整理・処分業者等の手配を行うことがあります。
死後事務としての家財整理と、 相続財産を誰に承継させるかという問題は 区別して考える必要があります。
7.公共料金・各種サービスの解約
死亡後も契約が残っている場合には、 必要に応じて解約手続きを行います。
例えば、
- 電気
- ガス
- 水道
- 携帯電話
- インターネット
- 新聞
- 定期購入サービス
- 各種会員サービス
などです。
8.行政機関等への届出・返却
死亡に伴って必要となる 行政上の届出や、 各種証書・保険証等の返却などについても、 契約内容や法令上可能な範囲で 対応を検討します。
単に「死後のことを全部任せる」とするのではなく、 葬儀、納骨、住居、家財、契約などを 一つずつ整理していきます。
死後事務委任契約ではできないこと・注意が必要なこと
死後事務委任契約を締結すれば、 死亡後のことを 何でも自由に依頼できるわけではありません。
特に、 財産の相続については 遺言との役割分担が重要です。
財産を誰に相続させるかを決めること
「自宅を長男へ相続させる」 「預貯金を友人へ遺贈する」 といった 死亡後の財産承継については、 死後事務委任契約ではなく 遺言で準備するのが基本です。
相続人同士の遺産分割を決めること
相続開始後に 相続人同士でどのように遺産を分けるかという問題は、 死後事務委任とは別の問題です。
本人の希望だけで実現できない事項
死後事務の内容によっては、 法律、 自治体、 葬儀社、 墓地・納骨堂、 賃貸借契約などの条件によって、 希望どおりに実施できない場合があります。
死亡後の「事務」と 死亡後の「財産承継」を分けて考えることが重要です。
死後事務委任契約と遺言の違い
死後事務委任契約と遺言は、 どちらも死亡後に関係するため 混同されることがあります。
しかし、 主な役割は異なります。
| 比較 | 死後事務委任契約 | 遺言 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 死亡後の事務を 特定の人へ依頼する | 死亡後の財産承継などについて 意思を残す |
| 葬儀・火葬 | 契約内容として検討できる | 希望を書くことはできても、 遺言だけで実行者を確保できるとは限らない |
| 納骨 | 契約内容として検討できる | 希望を記載することはできる |
| 住居の退去 | 契約内容として検討できる | 主な役割ではない |
| 公共料金等の解約 | 契約内容として検討できる | 主な役割ではない |
| 財産を誰に残すか | 基本的に遺言で準備 | 遺言の重要な役割 |
| 遺言執行者 | - | 指定できる |
「亡くなった後の事務を誰に頼むか」=死後事務委任
と考えると、 違いが分かりやすくなります。
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死後事務委任契約と任意後見の違い
身寄りがない方の終活では、 死後事務委任と一緒に 任意後見契約を 検討することがあります。
この2つも役割が異なります。
| 比較 | 任意後見 | 死後事務委任 |
|---|---|---|
| 主な時期 | 本人の生存中 | 本人の死亡後 |
| 目的 | 判断能力が低下した後の 財産管理・法律行為を支援する | 死亡後に残る事務を 依頼しておく |
| 開始 | 本人の判断能力が不十分となり、 家庭裁判所が任意後見監督人を選任した後 | 本人の死亡後、 契約内容に基づいて事務を行う |
| 死亡後 | 任意後見人の権限は 原則として本人の死亡により終了 | 死亡後の事務を行うための契約 |
そのため、
認知症になった後のことは任意後見、
亡くなった後のことは死後事務委任
という形で、 連続して備えることがあります。
死後事務委任契約の費用はいくら?
死後事務委任契約に必要となる費用は、 大きく分けると、
- 契約書を作成するための費用
- 死亡後に実際の事務を行うための報酬
- 葬儀・納骨・家財処分などに必要となる実費
があります。
そのため、 「契約書を作る費用」だけで 死後に必要となるすべての費用が 含まれるわけではありません。
死後に希望する事務の内容を確認し、 死後事務委任契約の内容を整理して 契約書を作成します。
※葬儀、納骨、家財処分等の実費や、 死亡後に実際の死後事務を行う際の費用等は 別途必要となります。
葬儀・火葬・納骨・家財処分などには 実費が発生するため、 希望する内容と必要資金を 契約時に確認しておく必要があります。
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死後事務委任契約は公正証書にした方がいい?
死後事務委任契約について、 必ず公正証書で作成しなければならない というわけではありません。
ただし、 死後事務委任契約は 本人が死亡した後に実行されるため、 その時点では本人に 契約内容を確認することができません。
また、 葬儀、 納骨、 住居の明渡し、 各種費用の支払いなど、 重要な事務を依頼することになります。
そのため、 契約内容を明確にし、 本人の意思を確認できる形で 残しておくことが重要です。
死後事務委任契約を検討した方がいい人
特に次のような方は、 死後事務委任契約を 検討する価値があります。
- 身寄りがない方
- おひとりさま
- 子どもがいない方
- 親族と疎遠な方
- 親族が遠方に住んでいる方
- 家族に死後の負担をかけたくない方
- 自分の希望する葬儀・納骨を実現したい方
- 賃貸住宅で一人暮らしをしている方
- 自分の死後を任せる人を明確にしておきたい方
「親族がいるから必要ない」 とは限りません。
親族がいても、 高齢、 遠方、 疎遠、 病気などの理由で、 実際に死亡後の手続きを 依頼することが難しい場合があります。
身寄りがない人が亡くなったらどうなる? →
死後事務委任だけで十分?
死後事務委任契約は、 死亡後への備えとして 重要な役割を持ちます。
しかし、 身寄りがない方や おひとりさまの場合には、 死後事務だけを準備すれば十分とは限りません。
死亡する前に、
- 身体が不自由になり財産管理が難しくなる
- 入院する
- 施設へ入所する
- 認知症によって判断能力が低下する
可能性もあります。
そのため、 現在から死亡後までを 時系列で考えることが重要です。
将来に備える4つの制度・契約
| 制度・契約 | 主な役割 |
|---|---|
| 財産管理等委任契約 | 判断能力はあるものの、 身体的な事情などで 財産管理や各種手続きが難しい場合に備える |
| 任意後見契約 | 将来判断能力が低下した場合の 財産管理・法律行為に備える |
| 遺言 | 死亡後に財産を 誰へ承継させるかを決める |
| 死後事務委任契約 | 葬儀、納骨、住居、 各種解約など死亡後の事務に備える |
家族関係、 年齢、 健康状態、 財産、 住居、 将来の希望を確認しながら 必要な備えを選びます。
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死後事務委任契約を作成する流れ
具体的な内容はケースによって異なりますが、 一般的には次のように進めます。
-
現在の状況を整理する
家族・親族関係、 住居、 財産、 利用しているサービスなどを確認します。 -
死亡後の希望を確認する
葬儀、 火葬、 納骨、 連絡してほしい人などを整理します。 -
依頼する死後事務を決める
住居の退去、 家財整理、 各種解約など、 必要な事務を一つずつ決めます。 -
遺言・任意後見等の必要性も確認する
財産承継や認知症への備えが必要な場合には、 死後事務とは別に検討します。 -
契約書を作成する
依頼する事務、 報酬、 実費、 その他必要事項を 契約書として明確にします。 -
死亡後の費用を準備する
葬儀、 納骨、 家財処分などに必要となる費用についても 事前に確認・準備します。
契約した後も内容を見直す
死後事務委任契約は、 一度作成すれば その後一切確認しなくてよいものではありません。
例えば、
- 引っ越した
- 施設へ入所した
- 葬儀についての希望が変わった
- 納骨先を決めた
- 連絡してほしい人が変わった
- 契約しているサービスが増減した
といった変化があれば、 死後事務の内容も変わる可能性があります。
死後事務委任契約についてよくある質問
Q. 死後事務委任契約とは何ですか?
Q. 家族がいても死後事務委任契約を作れますか?
Q. 死後事務委任契約と遺言はどちらを作ればいいですか?
Q. 任意後見契約があれば死後事務委任は必要ありませんか?
Q. 死後事務委任契約の費用はいくらですか?
Q. 葬儀を簡素にしてほしいという希望も決められますか?
Q. お墓がなくても死後事務委任契約を作れますか?
Q. まだ葬儀や納骨方法を決めていなくても相談できますか?
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まとめ|死後事務委任契約は「亡くなった後を誰に頼むか」を決める契約
死後事務委任契約は、 自分が亡くなった後に必要となる事務を 生前に第三者へ依頼しておく契約です。
契約内容に応じて、
- 死亡連絡
- 葬儀・火葬
- 納骨
- 病院・施設等の精算
- 住居の退去・明渡し
- 家財整理
- 公共料金等の解約
などを準備します。
一方、 財産を誰に相続・遺贈させるのかについては、 遺言を併せて検討することが重要です。
また、 身寄りがない方や おひとりさまの場合には、 死亡後だけではなく、 認知症になった後の財産管理についても 考えておく必要があります。
そのため、 財産管理等委任、 任意後見、 遺言、 死後事務委任 を、 現在から死亡後までの流れに沿って 整理することが重要です。
札幌の終活相談について詳しく見る →
札幌で死後事務委任契約をご検討中の方へ
行政書士トリキ法務事務所では、 死後事務委任契約について ご相談をお受けしています。
「自分が亡くなった後を頼める人がいない」
「葬儀や納骨を自分で決めておきたい」
「賃貸住宅や家財をどうするか心配」
「親族へ負担をかけたくない」
「遺言や任意後見も一緒に準備したい」
このような段階からご相談いただけます。
現在の家族関係、 住居、 財産、 葬儀・納骨についての希望などを確認しながら、 必要となる死後事務と その他の終活について整理していきます。

