任意後見と法定後見の違いは?7つの違い・選び方を行政書士が解説
成年後見制度には、大きく分けて 「任意後見」と「法定後見」 があります。
どちらも判断能力が十分でない方を 支援するための制度ですが、 利用するタイミングや後見人の決まり方、 権限などに違いがあります。
将来に備えて、 本人が自分で支援してもらう人や内容を 決めておくのが「任意後見」、 すでに判断能力が不十分になった方について 家庭裁判所が成年後見人等を選任するのが 「法定後見」です。
この記事では、 任意後見と法定後見の違いについて、 利用するタイミング、 後見人の決まり方、 権限や取消権、 監督方法、 どちらを検討すればよいのかまで 札幌市の行政書士が解説します。
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すでに認知症などで判断能力が低下し、 財産管理や契約に支援が必要な場合はこちらです。
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目次
- 1 任意後見と法定後見の7つの違い
- 2 任意後見とは?
- 3 任意後見契約を結んだらすぐに後見が始まる?
- 4 任意後見監督人とは?
- 5 任意後見人には何をお願いできる?
- 6 任意後見人には取消権がない
- 7 法定後見とは?
- 8 法定後見の「後見・保佐・補助」の違い
- 9 法定後見人は家族が自由に決められる?
- 10 法定後見を申し立てることができる人
- 11 法定後見の申立てから開始までの流れ
- 12 任意後見はどんな人に向いている?
- 13 法定後見はどんな場合に利用する?
- 14 任意後見と一緒に検討したい契約
- 15 遺言も一緒に作った方がいい?
- 16 任意後見と法定後見はどちらを選べばいい?
- 17 任意後見・法定後見でよくある質問
- 18 任意後見・成年後見についてあわせて読みたい記事
- 19 まとめ|現在の判断能力によって検討する制度が変わる
- 20 札幌で任意後見・成年後見をご検討の方へ
任意後見と法定後見の7つの違い
まずは、 任意後見と法定後見の主な違いを 比較してみましょう。
| 比較項目 | 任意後見 | 法定後見 |
|---|---|---|
| 1.利用する時期 | 判断能力が十分なうちに契約を準備 | すでに判断能力が不十分になった後 |
| 2.支援する人 | 本人があらかじめ任意後見受任者を選ぶ | 家庭裁判所が成年後見人等を選任 |
| 3.支援内容 | 任意後見契約で定めた代理権の範囲 | 後見・保佐・補助の類型や審判内容等により異なる |
| 4.手続き | 公正証書による任意後見契約を締結 | 家庭裁判所へ後見等開始の申立て |
| 5.開始時期 | 家庭裁判所が任意後見監督人を選任したとき | 家庭裁判所の審判により開始 |
| 6.監督 | 任意後見監督人が任意後見人を監督 | 家庭裁判所が成年後見人等を監督 |
| 7.取消権 | 任意後見人には原則として取消権がない | 法定後見では類型に応じて取消権等が認められる |
任意後見とは?
任意後見は、 本人に十分な判断能力があるうちに、 将来判断能力が低下した場合に備えて 支援してもらう人や支援内容を あらかじめ決めておく制度です。
本人と任意後見受任者との間で 任意後見契約 を締結します。
任意後見契約は、 公証人が作成する公正証書 によって締結する必要があります。
「将来、自分の判断能力が低下したら、 この人に財産管理や契約手続きをお願いしたい」 という希望を、 判断能力が十分なうちに準備できます。
任意後見契約を結んだらすぐに後見が始まる?
いいえ。
任意後見契約を締結しただけでは、 任意後見人としての業務は開始しません。
その後、 本人の判断能力が不十分な状態になったときに、 本人、配偶者、四親等内の親族、 任意後見受任者などが 家庭裁判所へ 任意後見監督人選任の申立て を行います。
家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると、 任意後見契約の効力が生じ、 任意後見人による支援が始まります。
任意後見監督人が選任されることによって、 初めて任意後見契約の効力が生じます。
任意後見監督人とは?
任意後見制度では、 任意後見人とは別に 任意後見監督人 が選任されます。
任意後見監督人は、 任意後見人が契約内容に従って 適切に業務を行っているかを 監督する役割を担います。
任意後見監督人は家庭裁判所によって選任され、 その事務について家庭裁判所へ報告します。
任意後見監督人には、 弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職や 法人が選任されることがあります。
任意後見人には何をお願いできる?
任意後見人ができることは、 任意後見契約で与えられた 代理権の範囲によって決まります。
例えば、 次のような事務が考えられます。
- 預貯金などの財産管理
- 生活費等の支払い
- 介護サービス契約に関する手続き
- 施設入所契約に関する手続き
- 医療費・施設費等の支払い
- 不動産管理に関する手続き
- 行政機関等への各種手続き
将来どのような生活を希望するのかまで考えながら、 必要な代理権を設定することが重要です。
任意後見人には取消権がない
任意後見と法定後見の 重要な違いの一つが、 取消権です。
任意後見人には、 本人が行った法律行為について、 法定後見制度の成年後見人等に認められるような 取消権はありません。
任意後見人ができるのは、 基本的に任意後見契約で与えられた 代理権の範囲内の行為です。
そのため、 本人が不必要な契約を繰り返してしまうなど、 本人自身が行う法律行為を取り消す 必要性が高い場合には、 法定後見制度との違いが重要になります。
法定後見とは?
法定後見は、 認知症、知的障害、精神障害などによって 本人の判断能力が十分でない場合に 利用する制度です。
本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ 申立てを行い、 家庭裁判所が本人の判断能力や状況などを確認して 成年後見人等を選任します。
法定後見制度は、 本人の判断能力の程度などに応じて 「後見」「保佐」「補助」 の3類型に分かれています。
法定後見の「後見・保佐・補助」の違い
| 類型 | 判断能力の目安 | 概要 |
|---|---|---|
| 後見 | 判断能力を欠く常況 | 成年後見人が本人の財産管理や 法律行為を広く支援します。 |
| 保佐 | 判断能力が著しく不十分 | 重要な法律行為について 同意権・取消権等による支援を行います。 |
| 補助 | 判断能力が不十分 | 本人の状況に応じて、 特定の法律行為について支援します。 |
どの類型になるかについては、 本人の判断能力などを踏まえて 家庭裁判所が判断します。
法定後見人は家族が自由に決められる?
法定後見では、 申立書に成年後見人等の候補者を 記載することはできます。
ただし、 候補者として家族などを記載したからといって、 必ずその人が選任されるわけではありません。
本人の財産状況、 親族関係、 必要となる支援内容などを踏まえて、 家庭裁判所が適任者を選任します。
これに対して任意後見では、 本人に判断能力が十分ある段階で、 将来任意後見人になってもらう人を 自分で決めて契約できます。
法定後見を申し立てることができる人
法定後見開始等の申立ては、 本人のほか、 配偶者、四親等内の親族など 一定の人が行うことができます。
身寄りがない場合などには、 一定の要件のもとで 市町村長が申立てを行う場合もあります。
法定後見の申立てから開始までの流れ
一般的には 次のような流れで進みます。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1.必要書類を準備 | 申立書、診断書、本人情報シート、 財産関係資料などを準備します。 |
| 2.家庭裁判所へ申立て | 本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ 申立てを行います。 |
| 3.家庭裁判所による審理 | 申立内容の確認、 本人・親族等への調査、 必要に応じて鑑定などが行われます。 |
| 4.審判 | 後見・保佐・補助の開始や 成年後見人等について 家庭裁判所が判断します。 |
| 5.審判確定・後見開始 | 審判が確定すると 成年後見人等による支援が始まります。 |
法定後見の申立て方法について詳しく見る →
任意後見はどんな人に向いている?
任意後見は、 現在は自分で契約内容を理解し判断できるものの、 将来に不安がある方が検討する制度です。
例えば、 次のような場合が考えられます。
- 子どもがおらず、将来の財産管理が心配
- 一人暮らしで将来の施設入所などが不安
- 将来支援してもらいたい人を自分で決めておきたい
- 親族ではなく信頼できる第三者へお願いしたい
- 将来の財産管理や生活について自分の希望を決めておきたい
任意後見は、 本人が契約内容を理解して 有効な契約を締結できる段階で 準備する必要があります。
将来への不安がある場合には、 判断能力が十分なうちに 検討することが重要です。
法定後見はどんな場合に利用する?
すでに本人の判断能力が低下しており、 財産管理や契約手続きを 本人だけで行うことが難しい場合には、 法定後見制度を検討します。
例えば、 次のような場合です。
- 認知症が進み預貯金を管理できない
- 施設入所などの契約手続きが必要
- 本人名義の財産を適切に管理する必要がある
- 相続手続きなど本人のための法律行為が必要
- 消費者被害などから本人を保護する必要がある
任意後見と一緒に検討したい契約
任意後見には 一つ重要な特徴があります。
任意後見契約は、 任意後見監督人が選任されてから効力が生じるため、 本人の判断能力が十分な期間については 任意後見契約だけではカバーできません。
そこで、 本人の希望に応じて 次のような契約を組み合わせることがあります。
見守り契約
定期的に本人へ連絡したり面談したりして、 生活状況や健康状態などを確認する契約です。
本人の状態の変化を継続的に確認することで、 任意後見を開始すべき時期を 把握しやすくなります。
財産管理等委任契約
判断能力は十分にあるものの、 身体が不自由になった場合などに、 財産管理や各種手続きを 他の人へ依頼する契約です。
例えば、 入院などによって銀行や行政機関へ 行くことが難しくなった場合などに備えます。
死後事務委任契約
任意後見人の権限は、 原則として本人の死亡によって終了します。
そのため、 葬儀、納骨、 住居の明渡し、 施設や各種サービスの解約など、 死亡後の手続きについて希望がある場合には、 死後事務委任契約を別途検討します。
任意後見だけですべての終活を カバーするわけではありません。
遺言も一緒に作った方がいい?
任意後見と遺言は 目的が異なります。
任意後見は、 本人が生きている間の 財産管理や法律行為を支援する制度です。
一方、 遺言は、 本人が亡くなった後に 財産を誰に承継させるかなどを定めるものです。
そのため、 将来の生活だけでなく、 死亡後の財産承継まで準備したい場合には、 任意後見と遺言を一緒に 検討することがあります。
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任意後見と法定後見はどちらを選べばいい?
大まかな判断基準は、 現在の本人の判断能力 です。
| 現在の状況 | 検討する制度 |
|---|---|
| 現在は元気で判断能力も十分だが将来が心配 | 任意後見を検討 |
| 支援してもらいたい人を自分で決めたい | 任意後見を検討 |
| すでに判断能力が不十分になっている | 法定後見を検討 |
| 本人による財産管理が難しくなっている | 法定後見を検討 |
| 現在は判断能力があるが身体的に財産管理が難しい | 財産管理等委任契約などを検討 |
ただし、 実際には本人の判断能力、 家族関係、 財産状況、 今後必要となる支援などによって 適切な方法は異なります。
現在、契約内容を理解して自分で将来の支援方法を決められる
→ 任意後見を中心に将来への備えを検討
すでに判断能力が低下し、本人だけでは財産管理や契約が難しい
→ 法定後見を検討
任意後見・法定後見でよくある質問
Q. 任意後見と法定後見の一番大きな違いは何ですか?
Q. 任意後見契約を結べばすぐ任意後見人になれますか?
Q. 任意後見人は家族でもなれますか?
Q. 法定後見では家族を後見人に指定できますか?
Q. 任意後見人は本人がした契約を取り消せますか?
Q. 任意後見だけで死亡後の手続きもお願いできますか?
Q. 認知症になってから任意後見契約を作れますか?
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まとめ|現在の判断能力によって検討する制度が変わる
任意後見と法定後見は、 どちらも判断能力が十分でない方を 支援する制度ですが、 利用するタイミングや 後見人の決まり方などが異なります。
現在十分な判断能力があり、 将来支援してもらう人や 支援内容を自分で決めておきたい場合には、 任意後見 を検討します。
一方、 すでに本人の判断能力が不十分で、 財産管理や契約などについて 支援が必要な場合には、 法定後見制度 を検討することになります。
任意後見を検討する場合には、 見守り契約、 財産管理等委任契約、 死後事務委任契約、 遺言なども含めて、 将来必要となる支援を整理しておくことが重要です。
札幌で任意後見・成年後見をご検討の方へ
行政書士トリキ法務事務所では、 現在の生活状況や判断能力、 将来の希望を確認しながら、 任意後見や成年後見制度について ご相談をお受けしています。
「元気なうちに将来へ備えておきたい」
「認知症になった後の財産管理が心配」
「任意後見と法定後見のどちらを考えればよいか分からない」
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このような段階からご相談いただけます。

