成年後見制度が必要になる8つのケース|認知症の親の預金・不動産・相続

「成年後見制度が必要なのは、どんなとき?」

認知症になったからといって、 すべての方が直ちに成年後見制度を 利用しなければならないわけではありません。

実際に問題になるのは、 判断能力の低下によって 預貯金の管理、不動産の売却、遺産分割協議、 施設入所の契約などの法律行為が 本人だけでは難しくなった場合 です。

この記事では、 成年後見制度の利用を検討する代表的な8つのケース を具体例を交えて行政書士が解説します。

すでに具体的な手続きで困っている方へ

「認知症の親の預金を動かせない」
「親名義の不動産を売却する必要がある」
「成年後見が必要なのか判断できない」

このような段階からご相談いただけます。

成年後見制度が必要になるのはどんなとき?

成年後見制度は、 認知症・知的障害・精神障害などによって 判断能力が十分でない方の 権利や財産を保護するための制度です。

重要なのは、 「認知症という診断を受けたか」だけではなく、 本人の判断能力と、実際に必要となっている法律行為です。

成年後見制度を検討する一つの目安
本人だけではできない契約・財産管理・法律手続きがあり、 その手続きを本人に代わって行う人が 必要になっているかどうかです。

ケース1|認知症で銀行の手続きができない

CASE 1 親の定期預金を解約したい

親が認知症になり、 介護施設への入居費用を準備するため、 親名義の定期預金を解約したいというケースです。

預金は本人の財産です。

子どもや配偶者だからといって、 本人に代わって当然に自由な払戻しや 定期預金の解約ができるわけではありません。

本人による意思確認が難しく、 家族にも適切な代理権がない場合には、 成年後見制度の利用を検討することがあります。

「認知症=銀行口座が自動的に凍結」ではありません。
本人の判断能力や取引内容、 各金融機関の対応などによって異なります。

ケース2|認知症の親の不動産を売却したい

CASE 2 施設入所のため実家を売却したい

親が認知症になって介護施設へ入居し、 空き家となった親名義の自宅を売却して 施設費などに充てたいケースです。

不動産の売却は法律行為です。

売買契約の内容を理解して 有効な意思表示をするための判断能力が本人にない場合、 本人自身で売却手続きを進めることが難しくなります。

このような場合には、 成年後見制度を利用し、 成年後見人等が本人のために 必要な手続きを行うことを検討します。

本人の居住用不動産は自由に売却できない

成年後見人が選任されたとしても、 本人の不動産を自由に処分できるわけではありません。

成年被後見人の 居住用不動産を処分する場合には、 家庭裁判所の事前の許可が必要です。

ここでいう居住用不動産には、 現在本人が住んでいる自宅だけでなく、 施設等へ入所する前に居住していた住居などが 含まれる場合があります。

親の預金・不動産の手続きが止まっている方へ

成年後見制度を利用すべきかは、 認知症という診断だけでなく、 本人の判断能力や必要な手続きの内容を確認して検討します。

ケース3|相続人の中に判断能力が不十分な人がいる

CASE 3 遺産分割協議を進められない

父が亡くなり、 相続人である母が認知症になっているケースを考えてみます。

遺産分割協議は、 相続人全員が内容を理解したうえで 合意する必要があります。

相続人の一人に 遺産分割協議を行うために必要な判断能力がない場合には、 そのまま有効な遺産分割協議を成立させることはできません。

このような場合には、 成年後見制度等を利用し、 本人を代理する者が遺産分割協議に参加する必要が 生じることがあります。

成年後見人は本人の利益を守る立場です。
他の相続人の都合に合わせて、 本人の相続分を自由に減らすための制度ではありません。

成年後見人自身も相続人の場合は注意

成年後見人と本人が同じ相続の共同相続人となる場合には、 成年後見人と本人との間で 利益が相反することがあります。

このような場合には、 原則として家庭裁判所へ 特別代理人の選任を申し立てるなど、 別の手続きが必要になります。

ただし、 成年後見監督人が選任されている場合などには 取扱いが異なることがあります。

ケース4|悪質商法や不利益な契約が心配

CASE 4 必要のない契約を繰り返してしまう

判断能力が低下し、 訪問販売などで本人にとって不利益な契約を 繰り返してしまうケースです。

法定後見制度では、 本人の判断能力や後見・保佐・補助の類型、 付与された権限などに応じて、 本人が行った一定の法律行為を 取り消せる場合があります。

そのため、 本人の財産を守る方法として 成年後見制度を検討することがあります。

ケース5|親族による財産管理が心配

CASE 5 本人の預金が適切に使われているか分からない

認知症の本人と同居する親族などが 本人の通帳やキャッシュカードを管理しており、 他の親族から見ると 財産管理の状況が分からないケースです。

成年後見人等が選任されると、 本人の財産を把握し、 本人のために必要な収入・支出を管理します。

親族による財産管理に問題が生じている場合などにも、 本人の財産を保護する観点から 成年後見制度が検討されることがあります。

ケース6|介護施設への入居契約が必要

CASE 6 本人だけでは施設との契約が難しい

認知症が進み、 自宅での生活が難しくなったため 介護施設への入居が必要になったケースです。

本人が契約内容を十分に理解できない場合には、 施設入所などに必要な契約を 本人だけで行うことが難しくなる場合があります。

成年後見人等は、 与えられた権限の範囲内で、 本人に必要な介護サービスや 施設入所などに関する契約を行います。

成年後見人は「身元保証人」と同じではありません。
成年後見人になったことを理由として、 個人的に本人の債務を保証したり、 身元保証人としての責任を当然に負ったりするものではありません。

ケース7|障がいのある子の将来が心配

CASE 7 親が亡くなった後の生活・財産管理が心配

成年後見制度は、 高齢者や認知症の方だけを対象とする制度ではありません。

知的障害や精神障害などによって 判断能力が十分でない方についても、 必要に応じて成年後見制度を利用できます。

親がこれまで本人の生活や財産管理を支えてきた場合、 親自身が高齢になったり亡くなったりした後に、 誰が支援するのかが問題になることがあります。

いわゆる 「親なきあと」 を考える際の選択肢の一つとして、 成年後見制度を検討することがあります。

ケース8|おひとりさまで将来が心配

CASE 8 将来、認知症になったときに頼れる人がいない

現在は一人で問題なく生活できていても、 将来認知症になった場合の財産管理や 各種契約に不安があるケースです。

本人に十分な判断能力がある段階であれば、 任意後見制度を利用して、 将来支援してもらう人を あらかじめ自分で決めておく方法があります。

おひとりさまの場合には、 任意後見だけでなく、 見守り・財産管理等の委任・死後事務委任・遺言などを 必要に応じて組み合わせることも検討します。

成年後見制度が必要とは限らないケース

認知症などの診断を受けたからといって、 直ちに成年後見制度が必要になるわけではありません。

判断能力がある程度保たれており、 本人自身で必要な契約や財産管理を行えるのであれば、 すぐに法定後見を利用する必要がない場合もあります。

また、本人に十分な判断能力がある段階であれば、 将来に備えて 任意後見や財産管理等の委任などを 検討する余地があります。

「認知症だから後見」ではなく、必要性から考えます。
「本人が現在何に困っているのか」
「本人だけではできない法律行為があるのか」
「その手続きを誰かが代理する必要があるのか」

という点を整理して成年後見制度の必要性を検討します。

すでに判断能力が低下している場合|法定後見

本人の判断能力がすでに不十分で、 財産管理や法律行為について支援が必要な場合には、 法定後見制度を検討します。

法定後見制度には、 本人の判断能力の程度に応じて 後見・保佐・補助 の3つがあります。

家庭裁判所への申立て後、 本人の判断能力や生活・財産状況などを踏まえて 必要な審理が行われ、 成年後見人等が選任されます。

元気なうちなら任意後見という選択肢もある

将来の認知症が心配でも、 現在は本人に十分な判断能力がある場合には、 任意後見契約を検討できます。

任意後見では、 将来自分の判断能力が低下した場合に 誰に支援してもらうのかを、 本人自身が元気なうちに決めておきます。

任意後見契約は公正証書によって締結し、 本人の判断能力が不十分になった後、 家庭裁判所が任意後見監督人を選任すると 任意後見契約の効力が生じます。

成年後見制度を利用するときの注意点

後見人を自由に選べるとは限らない 法定後見では、 最終的に誰を成年後見人等として選任するかは 家庭裁判所が判断します。
本人の財産は本人のために管理する 家族のために本人の預貯金を 自由に使用できる制度ではありません。
特定の手続きだけで終わるとは限らない 法定後見は、 不動産売却など一つの手続きが終了すれば 自動的に終了する制度ではありません。
家庭裁判所の監督を受ける 成年後見人等は、 本人の財産状況や職務について 家庭裁判所へ報告する必要があります。
成年後見が必要かどうか迷っている方へ

制度を利用することを前提にするのではなく、 現在必要となっている手続きと 本人の判断能力から必要性を整理します。

札幌で成年後見について相談したい方へ

「成年後見制度が必要なのか分からない」という段階でも構いません。 成年後見制度は、 本人の判断能力だけでなく、 現在どのような契約・財産管理・法律手続きが 必要になっているかを整理したうえで検討することが重要です。
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まとめ|「本人だけではできない手続き」が生じたら検討する

成年後見制度が必要になる代表的なケースとして、

  • 銀行で必要な手続きができない
  • 本人名義の不動産を売却できない
  • 遺産分割協議を進められない
  • 不利益な契約から本人を守る必要がある
  • 本人の財産管理に問題が生じている
  • 施設入所などの契約が必要
  • 障がいのある子の将来に備えたい
  • おひとりさまで将来の財産管理が心配

などがあります。

一方で、 認知症になっただけで 必ず成年後見制度を利用するわけではありません。

本人の判断能力と、 現在必要になっている契約・財産管理・法律手続きを確認し、 成年後見制度が本当に必要なのかを検討することが重要です。

札幌で成年後見についてお悩みの方へ

行政書士トリキ法務事務所では、 成年後見制度についてのご相談をお受けしています。

「親の預金を管理できなくなった」
「認知症の親の不動産を売却する必要がある」
「相続手続きが認知症によって進まない」
「成年後見制度が必要なのか分からない」

このような具体的な問題が生じている段階からご相談いただけます。

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