遺言書が無効になるケースとは?自筆証書遺言の要件・注意点を行政書士が解説
遺言書は、書いておけば必ず法的な効力が認められるわけではありません。
遺言は法律で定められた方式に従って作成する必要があり、 必要な要件を満たしていない場合には、 せっかく遺言書を残しても 無効となる可能性があります。
特に自分で作成する 自筆証書遺言では、 自書・日付・署名・押印・訂正方法などに 注意が必要です。
また、 形式が整っていても、 遺言を作成した時点で本人に必要な判断能力がなかった場合など、 遺言の有効性が問題になることがあります。
この記事では、 遺言書が無効になる主なケースと、 自筆証書遺言を作成するときに確認したいポイント を札幌市の行政書士が解説します。
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目次
- 1 遺言書には法律で定められた方式がある
- 2 自筆証書遺言が無効になる主なケース
- 3 認知症などで遺言能力がない場合も無効になる可能性がある
- 4 本人の意思ではなく無理に書かされた遺言にも注意
- 5 内容が不明確な遺言書にも注意
- 6 遺留分を侵害すると遺言書自体が無効になる?
- 7 公正証書遺言なら絶対に無効にならない?
- 8 自筆証書遺言書保管制度を利用する方法もある
- 9 自筆証書遺言を作るときのチェックポイント
- 10 形式だけでなく「実際に手続きできる遺言」にすることが重要
- 11 遺言書を作った後も見直しが必要な場合がある
- 12 遺言書の作成について詳しく知りたい方へ
- 13 まとめ|遺言書は方式と内容の両方が重要
- 14 札幌で遺言書の作成をご検討の方へ
遺言書には法律で定められた方式がある
遺言は、 遺言者が亡くなった後に その効力が生じる重要な法律行為です。
本人が亡くなった後は、 「本当はどのような意思だったのか」を 本人に確認することができません。
そのため、 単に紙に自分の希望を書いておけばよいのではなく、 民法で定められた方式に従って 遺言書を作成する必要があります。
本人の意思が明確に書かれているように見えても、 法律上必要な方式を満たしていなければ、 遺言として効力が認められない可能性があります。
自筆証書遺言が無効になる主なケース
自筆証書遺言は、 公証役場へ行かずに 自分で作成できる遺言です。
利用しやすい一方で、 遺言者自身が方式を確認して作成するため、 形式上の不備には特に注意が必要です。
1.本文を本人が自書していない
自筆証書遺言では、 原則として遺言者本人が 遺言書の全文を自書 する必要があります。
例えば、 パソコンで遺言本文を作成して印刷し、 最後の署名だけを本人が手書きした場合には、 自筆証書遺言としての要件を満たしません。
自筆証書遺言に添付する財産目録については、 パソコンで作成したものや、 通帳・登記事項証明書などの写しを利用することができます。 その場合には、 自書によらない財産目録の各ページに 遺言者が署名・押印する必要があります。
2.日付がない・日付を特定できない
自筆証書遺言には、 遺言者本人が 作成した日付を記載する必要があります。
日付は、 遺言作成時の遺言能力を判断したり、 複数の遺言書が存在する場合に 作成時期の前後関係を確認したりするうえでも重要です。
3.署名がない
自筆証書遺言には、 遺言者本人の署名が必要です。
誰が作成した遺言書なのかを明らかにするためにも、 署名は重要な要件となります。
4.押印がない
自筆証書遺言には、 遺言者本人による押印も必要です。
必ずしも実印でなければならないわけではありませんが、 押印そのものがない場合には 自筆証書遺言の方式を満たさないことになります。
5.訂正・追加の方法に問題がある
遺言書を書いた後に 内容を変更する場合にも、 法律上定められた方法があります。
単純に二重線を引いて書き直しただけでは、 変更が適切に行われたものと認められず、 訂正部分の効力が問題になる可能性があります。
修正箇所が多い場合や、 重要な内容を変更したい場合には、 訂正を重ねるよりも 新しい遺言書を作成する方法も検討します。
6.夫婦など複数人で一つの遺言書を作っている
夫婦で同じ内容の遺言を希望していても、 夫婦2人で一つの遺言書を共同して作成することはできません。
民法では、 2人以上の者が 同一の証書で遺言をすることはできないとされています。
そのため、 夫婦がお互いに財産を残したい場合でも、 夫は夫の遺言書、 妻は妻の遺言書として それぞれ作成します。
「夫は妻へ、妻は夫へ財産を残したい」 という場合も、 それぞれ別の遺言書を作成します。
子どものいない夫婦に遺言書が必要な理由を見る →
認知症などで遺言能力がない場合も無効になる可能性がある
遺言書の形式が整っていても、 遺言者に必要な遺言能力がなければ、 遺言の有効性が問題になることがあります。
15歳未満の人が作成した遺言
遺言は、 満15歳に達した人 がすることができます。
そのため、 15歳未満の人が作成したものは 有効な遺言とはなりません。
遺言作成時に必要な判断能力がなかった場合
遺言者は、 遺言をする時点で、 自分が行っている行為の意味や結果を 理解して判断できる状態であることが必要です。
ここで重要なのは、 認知症と診断されていることだけで、 直ちに遺言が無効になるわけではない という点です。
認知症の程度や症状は人によって異なるため、 遺言を作成した時点で 本人が遺言の内容やその結果を 理解できていたかが問題になります。
「形式が整っているか」だけではなく、 遺言作成時に本人が内容を理解し、 自分の意思で判断できていたか という点も重要になります。
本人の意思ではなく無理に書かされた遺言にも注意
遺言書は、 遺言者本人の自由な意思によって 作成される必要があります。
形式上は本人が自書・署名・押印していても、 第三者から強く迫られたり、 本人の自由な意思が妨げられたりした状況で 作成された場合には、 遺言の有効性をめぐって争いになる可能性があります。
特に、 特定の相続人だけに大部分の財産を残す内容で、 作成当時の本人の判断能力や 作成経緯について疑問が生じるような場合には、 相続発生後に問題となることがあります。
本人の意思を明確に残すためには、 作成時の状況にも配慮する必要があります。
自筆証書遺言は自分で作成できますが、 形式だけでなく、 財産の特定や遺留分、 遺言執行まで考えて内容を決める必要があります。
内容が不明確な遺言書にも注意
法律上の方式を満たしていても、 遺言書の内容が曖昧だと、 遺言者が希望していたとおりに 手続きを進められないことがあります。
これは必ずしも 遺言書全体が直ちに無効になるという意味ではありません。
しかし、 財産や受取人を特定できない場合などには、 遺言内容の解釈をめぐって 問題が生じる可能性があります。
遺留分を侵害すると遺言書自体が無効になる?
遺言書を作成するときに 混同されやすいのが、 遺留分です。
例えば、 「長男にすべての財産を相続させる」 という遺言を作成した結果、 他の相続人の遺留分を侵害することがあります。
しかし、 遺留分を侵害しているという理由だけで、 その遺言書自体が当然に無効になるわけではありません。
遺留分を侵害された一定の相続人から 遺留分侵害額請求が行われる可能性があるため、 遺言書を作成する段階で 相続人や財産状況を確認しておくことが重要です。
方式を満たしているかという問題と、 遺言内容が相続人の遺留分を侵害しているかという問題は 別の論点です。
公正証書遺言なら絶対に無効にならない?
公正証書遺言は、 公証人が関与し、 法律で定められた方式に従って作成されます。
そのため、 自筆証書遺言と比較すると、 自書・日付・訂正方法などの 方式上の不備によって 遺言が無効になるリスクを抑えやすいことが特徴です。
また、 公正証書遺言の原本は 公証役場で保管されるため、 紛失や改ざんなどのリスクも抑えられます。
ただし、 「公正証書遺言であれば、 どのような場合でも絶対に有効」 というわけではありません。
遺言作成時の遺言能力などについて 後から争われる可能性まで 完全になくなるわけではありません。
公正証書遺言について詳しく見る →
自筆証書遺言書保管制度を利用する方法もある
自筆証書遺言については、 法務局で遺言書を保管してもらう 自筆証書遺言書保管制度 があります。
この制度を利用すると、 遺言書の紛失や 相続人などによる廃棄・改ざんを防ぐことができます。
また、 保管申請の際には、 遺言書が民法上の形式に適合しているかについて 外形的な確認が行われます。
法務局では、 遺言書の内容について相談したり、 その内容が法的に有効かどうかを 判断してもらったりすることはできません。
自筆証書遺言を作るときのチェックポイント
- 遺言書の本文を本人が自書しているか
- 作成日を特定できる日付を本人が記載しているか
- 本人が署名しているか
- 本人が押印しているか
- 財産目録を自書しない場合の要件を満たしているか
- 訂正・追加がある場合、法律上の方式に従っているか
- 夫婦など複数人で一つの遺言書を作っていないか
- 財産を具体的に特定できるか
- 財産を受け取る人を特定できるか
- 内容に矛盾がないか
- 遺留分について検討する必要があるか
- 配偶者など受取人が先に亡くなった場合も考えているか
- 遺言執行者を指定するか
形式だけでなく「実際に手続きできる遺言」にすることが重要
遺言書を作成するときは、 「無効にならないこと」だけを 考えればよいわけではありません。
遺言書が形式上有効でも、 財産の記載が曖昧だったり、 遺言内容を実現する人が決まっていなかったりすると、 相続発生後の手続きが 複雑になる場合があります。
また、 遺言書を作成してから 長い年月が経過すると、 財産状況や家族関係が 変わることもあります。
そのため、 法律上有効な方式で作成することに加えて、 実際の相続手続きまで想定した内容にする ことが重要です。
遺言書を作った後も見直しが必要な場合がある
遺言書は、 一度作成したら その後一切変更できないものではありません。
遺言者が生存している間は、 遺言を撤回したり、 新しい遺言書を作成したりすることができます。
例えば、 次のような変化があった場合には、 遺言内容を確認する意味があります。
遺言書の作成について詳しく知りたい方へ
まとめ|遺言書は方式と内容の両方が重要
遺言書は、 自分の希望を書いておくだけでは 法律上有効な遺言になるとは限りません。
特に自筆証書遺言では、 自書・日付・署名・押印など、 法律で定められた方式を守る必要があります。
また、 形式が整っていても、 作成時に必要な遺言能力がなかった場合には、 遺言の有効性が問題になることがあります。
一方、 遺留分を侵害していることや、 内容が分かりにくいことは、 必ずしも遺言書全体が 直ちに無効になることを意味するものではありません。
遺言書を作成するときは、 「法律上有効な遺言を作ること」と 「本人の希望を実際の相続手続きで実現できる内容にすること」 の両方を考えることが重要です。
札幌で遺言書の作成をご検討の方へ
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