遺言書はなぜ必要?作成するメリット・必要性が高いケースを行政書士が解説

「遺言書は財産が多い人だけが作るもの」 と思われることがありますが、必ずしもそうではありません。

遺言書には、 自分が亡くなった後の財産について、 誰に・何を・どのように承継してほしいのか という意思を残す役割があります。

財産額がそれほど大きくなくても、 子どもがいない、不動産がある、 相続人以外に財産を残したいなど、 家族関係や財産の内容によっては 遺言書の必要性が高くなる場合があります。

この記事では、 遺言書はなぜ必要なのか、 作成するメリットや特に作成を検討したいケース を札幌市の行政書士が解説します。

遺言書はなぜ必要?

遺言書を作成する大きな目的の一つは、 自分が亡くなった後の財産について 「誰に、どの財産を、どのように承継してもらいたいか」 という意思を残すことです。

遺言書がない場合、 相続人が複数いれば、 原則として相続人全員で遺産分割について 話し合うことになります。

家族の仲が良くても、 不動産や預貯金などの分け方について 意見が一致するとは限りません。

また、 本人が「この人に財産を残したい」と思っていても、 その人が法律上の相続人でなければ、 遺言がないことで希望どおりに 財産を承継できない場合があります。

遺言書は「財産が多いかどうか」だけで必要性を判断するものではありません。
家族関係、相続人の人数、 不動産の有無、 誰に財産を残したいのかなどによって、 必要性は大きく変わります。

遺言書を作成する6つのメリット

1.財産を誰に承継させるか意思を残せる

遺言書を作成することで、 自分の財産を誰にどのように承継させたいのか、 自分の意思を残すことができます。

例えば、

  • 自宅は配偶者に相続させたい
  • 預貯金は子どもたちに一定の割合で相続させたい
  • 特定の財産を特定の相続人に取得してもらいたい

といった希望がある場合です。

ポイント
法定相続分とは異なる財産の承継を希望している場合には、 遺言書を作成する必要性が特に高くなります。

2.遺産分割協議が必要になる場面を減らせる

遺言書がなく、 相続人が複数いる場合には、 原則として相続人全員で遺産分割協議を行い、 財産の分け方を決めることになります。

相続人同士の関係が良好であっても、 不動産・預貯金・自動車など 財産の種類によっては、 誰が何を取得するか決めるのが 難しいことがあります。

遺言書によって 財産の承継方法をあらかじめ定めておくことは、 相続発生後の話し合いや 手続きの負担を減らす方法の一つです。

3.特定の財産を特定の人に承継させる意思を残せる

財産の中に自宅や事業用財産などがある場合、 「この財産はこの人に承継してほしい」 という希望があることがあります。

特に不動産のように 簡単に分割することができない財産がある場合には、 生前に承継方法を検討しておくことが重要です。

4.相続人以外の人へ財産を残すことができる

遺言を利用することで、 法定相続人ではない人に 財産を遺贈することもできます。

例えば、

  • 内縁の配偶者
  • 長年支えてくれた親族
  • お世話になった人
  • 相続人ではない孫
  • 団体・法人など

へ財産を残したい場合などが考えられます。

相続人以外の人に財産を残したい場合は、遺言書の必要性が高いケースです。
財産の内容や法定相続人との関係、 遺留分なども確認しながら 遺言内容を検討することが重要です。

5.未成年の子がいる場合に未成年後見人を指定できる

未成年者に対して最後に親権を行う者は、 遺言によって未成年後見人を 指定できる場合があります。

自分が亡くなった後、 未成年の子を誰に支援してほしいのかという点についても、 遺言を検討する意味があります。

6.遺言執行者を指定できる

遺言書では、 遺言の内容を実現するための 遺言執行者 を指定することができます。

遺言執行者は、 遺言内容に応じて 財産の名義変更など 遺言を実現するために必要な手続きを行います。

特に相続人以外への遺贈などがある場合には、 遺言の内容だけでなく、 誰がその内容を実行するのか まで考えておくことが重要です。

「自分の場合、遺言書は必要?」という段階でもご相談いただけます

家族構成や財産の内容を確認しながら、 遺言書を作成する必要性や、 公正証書遺言にするかどうかなどを整理します。

特に遺言書を作った方がよいケース

遺言書の必要性は、 財産額だけで判断するものではありません。

特に次のような場合には、 遺言書の作成を検討する意味が大きくなります。

子どもがいない夫婦 配偶者だけでなく、 親や兄弟姉妹などが相続人になる可能性があります。 配偶者へ財産を残したい場合には、 相続関係を確認しておくことが重要です。
相続人が複数いる 遺言がなければ、 相続人全員で財産の分け方を 話し合うことになる可能性があります。
不動産が主な財産 自宅など簡単に分けることのできない財産がある場合は、 誰に承継させるか検討しておくことが重要です。
相続人以外に財産を残したい 内縁の配偶者、お世話になった人、 相続人ではない孫などへ 財産を残したい場合です。
特定の相続人に特定の財産を残したい 自宅や事業用財産など、 承継する人をあらかじめ決めておきたい場合です。
相続人同士の関係に不安がある 将来の遺産分割協議で 意見がまとまりにくいことが予想される場合です。
再婚している・前婚の子がいる 現在の配偶者と前婚の子など、 複数の家族関係が相続に関係する場合には、 財産の承継について整理しておくことが重要です。
おひとりさま・頼れる親族が少ない 財産を誰に残すかだけでなく、 遺言執行者や死後の手続きを 誰に任せるかまで考えておく必要があります。

遺言書を作れば必ず相続トラブルを防げる?

遺言書を作成したからといって、 必ず相続トラブルを防げるわけではありません。

内容によっては、 一部の相続人から 遺留分侵害額請求が行われる可能性があります。

また、 遺言書の内容が不明確であったり、 法律上必要な方式を満たしていなかったりすると、 遺言の有効性や解釈が問題になる可能性もあります。

極端な財産配分には注意が必要です。
本人の希望を実現することは重要ですが、 相続人の構成や遺留分、 財産の内容なども確認しながら 遺言内容を設計する必要があります。
「遺言書を作ること」自体が目的ではありません。
家族関係・財産・本人の希望を確認したうえで、 実際に相続が発生した後の手続きまで考えて 内容を設計することが重要です。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

一般的に利用される遺言として、 自筆証書遺言公正証書遺言 があります。

自筆証書遺言 遺言者本人が、 法律上定められた方式に従って作成する遺言です。 費用を抑えて作成しやすい一方、 方式不備や内容の不明確さなどには 注意する必要があります。
公正証書遺言 公証人が関与し、 法律で定められた方式によって作成する遺言です。 作成には公証人との事前調整や 証人2名の立会いなどが必要ですが、 原本が公証役場で保管されるなどの特徴があります。

遺言書を作成するときに確認しておきたいこと

実際に遺言書を作成する場合は、 文章を書き始める前に、 相続関係や財産を整理しておくことが重要です。

  • 誰が法定相続人になるのか
  • 預貯金・不動産・有価証券・自動車など、どのような財産があるのか
  • 誰にどの財産を承継してほしいのか
  • 相続人以外に財産を残したい人がいるか
  • 遺留分について考慮する必要があるか
  • 遺言執行者を指定するか
  • 自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらにするか
  • 葬儀や死後の手続きについて別途準備が必要か

これらを整理してから遺言内容を検討すると、 「誰に何を残したいのか」だけでなく、 亡くなった後に 誰がどのように手続きを進めるのかも 考えやすくなります。

遺言書だけでは対応できないこともある

遺言書は、 主に亡くなった後の 財産の承継について意思を残すためのものです。

そのため、 認知症などで判断能力が低下した後の 財産管理や生活上の契約については、 遺言書だけで備えることはできません。

また、 葬儀・納骨・住居の明渡し・ 各種契約の解約などの死後事務についても、 遺言とは別に準備を検討した方がよい場合があります。

認知症になった後への備え 任意後見契約などを検討します。
亡くなった後の事務への備え 死後事務委任契約などを検討します。

遺言書は一度作ったら変更できない?

遺言は、 遺言者が生存している間であれば 撤回することができます。

新しい遺言を作成したり、 法律上認められる方法によって 以前の遺言の全部または一部を 撤回したりすることができます。

遺言書を作成した後に、 財産状況や家族関係、 本人の希望が変わることもあります。

そのため、 一度作成して終わりではなく、 状況が大きく変わったときには 遺言内容を確認することも大切です。

遺言・終活について詳しく知りたい方へ

まとめ|遺言書は自分と家族のための事前準備

遺言書は、 自分の財産を誰に承継してほしいのかという 意思を残すための重要な手段です。

特に、 子どもがいない場合、 相続人が複数いる場合、 不動産がある場合、 相続人以外に財産を残したい場合 などには、 早めに遺言書の作成を検討する意味があります。

また、 遺言書だけですべての終活に 対応できるわけではありません。

認知症になった後への備えや、 亡くなった後の葬儀・納骨・契約解約などについても 不安がある場合には、 任意後見や死後事務委任なども含めて 将来全体を整理しておくことが重要です。

大切なのは、 単に遺言書を作ることではなく、 自分の希望と家族関係、財産状況を整理し、 その希望を実現できる内容にすることです。

札幌で遺言書の作成をご検討の方へ

行政書士トリキ法務事務所では、 ご本人の希望や家族関係、 財産状況を確認しながら、 遺言書の作成をサポートしています。

「自分の場合は遺言書を作った方がいいのか」
「誰にどの財産を残すか整理したい」
「公正証書遺言にした方がいいのか」
「遺言だけでなく任意後見や死後事務も考えたい」

このような段階からご相談いただけます。

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