成年後見人の初回報告とは?就任後の届出・手続きを行政書士が解説
成年後見人に選任された後は、 本人の財産を調査して終わりではありません。
財産目録や収支に関する書類などを作成し、 家庭裁判所から指定された期限・方法に従って 初回の報告を行います。
また、銀行・市区町村・年金関係・施設など、 本人と関係する機関についても、 必要に応じて成年後見人に就任したことを届け出ていきます。
すべてを一度に終わらせる必要はありませんが、 家庭裁判所から指定された提出期限や、 本人の生活に直接影響する支払い・契約などを確認しながら 優先順位をつけることが重要です。
この記事では、 成年後見人の初回報告と、 就任後に確認したい主な届出先について 行政書士が解説します。
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目次
- 1 成年後見人の就任直後は何をする?
- 2 家庭裁判所へ初回報告を行う
- 3 提出期限に間に合わない場合は?
- 4 初回報告は「後見開始時点の状況」を整理する重要な手続き
- 5 本人の生活費はどう管理する?
- 6 関係機関へ成年後見人就任の届出を行う
- 7 主な届出先①|銀行などの金融機関
- 8 主な届出先②|証券会社・保険会社
- 9 主な届出先③|市区町村
- 10 主な届出先④|年金関係
- 11 主な届出先⑤|施設・介護事業所
- 12 主な届出先⑥|病院・医療機関
- 13 主な届出先⑦|その他の契約先
- 14 就任届をするときに準備しておきたいもの
- 15 すべての届出を一度に終わらせる必要はない
- 16 就任後の届出チェックリスト
- 17 初回報告後も記録を残していく
- 18 関連記事
- 19 まとめ|初回報告と関係機関への届出を順番に進める
- 20 成年後見人の初回報告・就任後の手続きでお困りの方へ
成年後見人の就任直後は何をする?
成年後見人に選任された直後は、 大きく分けて次のような事務を進めます。
預貯金、不動産、保険、負債、 収入・支出などを確認します。
調査した財産を整理し、 家庭裁判所へ提出する書類を作成します。
指定された期限・方法に従って、 必要書類を提出します。
金融機関や行政機関など、 本人に関係する機関で必要な手続きを行います。
預貯金・不動産・保険・有価証券・負債など、 就任直後の財産調査については 成年後見人に選任されたら最初にすること で詳しく解説しています。
財産調査後の財産目録や年間収支予定表については 成年後見人の財産目録・年間収支予定表 をご覧ください。
家庭裁判所へ初回報告を行う
本人の財産や収支などを調査したら、 家庭裁判所からの案内に従って 必要な書類を作成・提出します。
提出する書類は、 事件の内容や家庭裁判所からの指示によって 確認する必要があります。
本人の財産・収支などを把握したうえで、 指定された書式や添付資料を整理していきます。
主な確認書類
- 財産目録
- 収支に関する書類
- 預金通帳などの財産関係資料
- 不動産に関する資料
- 保険・有価証券等に関する資料
- 負債に関する資料
- その他、家庭裁判所から提出を求められた書類
「審判から必ず○か月以内」などと インターネット上の情報だけで判断せず、 家庭裁判所から指定された提出期限を確認することが重要です。
成年後見人に選任された後は、 財産調査、財産目録等の作成、 家庭裁判所への報告などを順番に進めていきます。
「何を提出すればよいか整理できない」
「財産関係の資料が多く、まとめ方が分からない」
「初回報告に向けて何から始めればよいか分からない」
このような場合もご相談いただけます。
提出期限に間に合わない場合は?
財産調査を進めていると、 金融機関からの資料取得に時間がかかったり、 本人の財産が多く調査に時間を要したりすることがあります。
家庭裁判所から指定された期限までに 必要書類を提出することが難しい事情が生じた場合には、 そのまま期限を経過させるのではなく、 早めに家庭裁判所へ相談・確認することが重要です。
初回報告は「後見開始時点の状況」を整理する重要な手続き
初回報告は、 単に家庭裁判所へ書類を提出するためだけのものではありません。
本人について、
- 現在どのくらい財産があるのか
- どのような収入があるのか
- 毎月・毎年どの程度の支出があるのか
- 借入金などの負債はあるのか
- 現在どのような生活をしているのか
などを整理することで、 その後の財産管理や後見事務の基礎を作ることができます。
本人の生活費はどう管理する?
成年後見人に就任すると、 本人の生活に必要な支払いも管理していくことになります。
例えば、
- 施設利用料
- 家賃
- 医療費
- 介護サービス費
- 食費・日用品費
- 水道光熱費
- 税金・社会保険料
などです。
支払方法は、 口座振替、振込み、現金など、 本人の生活状況に応じて検討します。
現金で管理する場合
本人の日用品費など、 現金による支払いが必要になる場合もあります。
現金を管理する場合には、 いつ・何のために・いくら支出したのか が後から確認できるよう、 記録を残しておくことが重要です。
現金出納帳などを利用し、 領収書等と照らし合わせられるように 管理しておくと分かりやすくなります。
本人の生活状況や支払方法を踏まえ、 必要な範囲で適切に管理し、 成年後見人自身の現金とは明確に区別 してください。
関係機関へ成年後見人就任の届出を行う
成年後見人に選任された後は、 本人が利用しているサービスや契約、財産などを確認しながら、 必要な機関へ成年後見人就任の届出等を行います。
すべての人について 同じ届出先があるわけではありません。
本人の生活・財産・契約状況に応じて、 必要な届出先を整理していきます。
主な届出先①|銀行などの金融機関
本人名義の預貯金がある金融機関では、 成年後見人に就任したことについて 所定の手続きを行います。
金融機関によって手続方法は異なりますが、 成年後見人であることを確認するための 登記事項証明書や本人確認書類などの 提示・提出を求められることがあります。
手続き後は、 成年後見人として本人の預貯金を 適切に管理していきます。
必要書類や口座の取扱いは金融機関によって異なります。
来店前に金融機関へ連絡し、 成年後見人就任の届出に必要な書類を確認しておくと 手続きを進めやすくなります。
主な届出先②|証券会社・保険会社
本人が株式・投資信託などを保有している場合には証券会社、 生命保険などに加入している場合には 保険会社についても確認します。
成年後見人に就任したことを届け出たうえで、 本人の契約内容や財産状況を把握し、 今後必要となる手続きを確認します。
主な届出先③|市区町村
本人が利用している行政サービス等に応じて、 市区町村で必要な手続きを確認します。
例えば、
- 介護保険
- 後期高齢者医療・国民健康保険など
- 税金関係
- 福祉関係
- 各種給付・助成制度
などについて、 本人の状況に応じて確認します。
担当部署や必要書類については、 市区町村へ確認して進めます。
主な届出先④|年金関係
本人が年金を受給している場合には、 年金関係の手続きについても確認します。
成年後見人等が本人に代わって 年金に関する手続きを行う場合など、 必要に応じて所定の届出・手続きを行います。
本人が受給している年金の種類や 必要となる手続きによって対応が異なるため、 最新の案内を確認します。
主な届出先⑤|施設・介護事業所
本人が高齢者施設や障害福祉施設などに 入居している場合には、 施設にも成年後見人に就任したことを伝えます。
今後の、
- 利用料の支払い
- 契約に関する連絡
- 本人の生活状況についての情報共有
- 各種書類の送付先
などについて確認しておくと、 その後の後見事務を進めやすくなります。
主な届出先⑥|病院・医療機関
本人が入院している場合や、 継続的に通院している医療機関がある場合には、 必要に応じて成年後見人に就任したことを伝え、 今後の連絡方法等を確認します。
成年後見人は本人に代わって 財産管理や一定の法律行為を行いますが、 手術などの医療行為について、 成年後見人であることだけを理由に 一般的な同意権が付与されるものではありません。
主な届出先⑦|その他の契約先
本人の生活状況によっては、 その他の契約先についても 成年後見人として対応する必要があります。
例えば、
- 電気・ガス・水道
- 電話・インターネット
- 携帯電話会社
- 賃貸住宅の管理会社・貸主
- クレジットカード会社
- ローン・借入先
- その他本人が契約しているサービス
などです。
本人の通帳や郵便物、 契約書などを確認すると、 継続している契約を把握する手掛かりになります。
成年後見人に選任されると、 金融機関、市区町村、年金関係、施設、保険会社など、 本人の状況に応じてさまざまな手続きが必要になります。
「どこへ届出をすればよいか分からない」
「本人の契約先を整理できていない」
「初回報告と届出をどの順番で進めればよいか分からない」
このような場合もご相談いただけます。
就任届をするときに準備しておきたいもの
実際に必要となる書類は 届出先によって異なります。
一般的には、
- 成年後見登記の登記事項証明書
- 成年後見人の本人確認書類
- 本人に関する書類・番号等
- 各機関所定の届出書
- その他、各機関から指定された書類
などを求められることがあります。
同じ「成年後見人就任の届出」でも、 金融機関・行政機関・保険会社等によって 必要書類や手続方法は異なります。
すべての届出を一度に終わらせる必要はない
就任直後は、 財産調査、家庭裁判所への報告、 各機関への届出など、 多くの事務が重なります。
まずは、 本人の生活や財産管理に直接影響する 優先度の高い手続きから進めます。
優先順位の一例
施設費、家賃、医療費、 日常生活費などの支払いを確認します。
金融機関などの手続きを進め、 本人の財産を適切に管理できる状態を整えます。
指定された提出期限を確認し、 財産目録等の必要書類を準備します。
本人の状況を確認しながら、 必要な届出を順番に進めます。
上記はあくまで整理の一例です。
就任後の届出チェックリスト
- □ 家庭裁判所への初回報告
- □ 銀行・信用金庫等
- □ 証券会社
- □ 保険会社
- □ 市区町村
- □ 年金関係
- □ 施設・介護事業所
- □ 病院・医療機関
- □ 賃貸住宅の管理会社等
- □ 電気・ガス・水道
- □ 携帯電話・通信会社
- □ クレジットカード・借入先
- □ その他本人の契約先
初回報告後も記録を残していく
初回報告と就任届が終われば、 成年後見人の仕事が終了するわけではありません。
その後も、 本人の財産や収支を管理し、 本人に必要な契約や手続きを行っていきます。
そのため、
- 通帳
- 領収書
- 請求書
- 契約書
- 行政機関からの通知
- 本人のために行った手続きの記録
などを継続して整理・保管することが重要です。
関連記事
まとめ|初回報告と関係機関への届出を順番に進める
成年後見人に選任された後は、 本人の財産・生活状況を調査し、 財産目録等の必要書類を作成します。
そのうえで、 家庭裁判所から指定された期限・方法に従って 初回報告を行います。
また、 金融機関、市区町村、年金関係、 施設、保険会社など、 本人の生活・財産に関係する機関についても 必要な届出を行っていきます。
就任直後は多くの手続きがありますが、 本人の生活に必要なもの、 家庭裁判所から期限を指定されているものなどを確認し、 優先順位をつけて進めることが重要です。
初回報告は、その後の後見事務の基礎となる重要な手続きです。 財産調査から報告、関係機関への届出までを 一つずつ整理して進めていきましょう。
成年後見人の初回報告・就任後の手続きでお困りの方へ
行政書士トリキ法務事務所では、 成年後見制度や後見事務に関するご相談に対応しています。
「成年後見人に選任されたが、何から始めればよいか分からない」
「初回報告に向けて財産や書類を整理したい」
「どの機関へ就任の届出をすればよいか分からない」
「家庭裁判所への報告に向けて準備したい」
このような段階からご相談いただけます。

