法定後見の申立て方法|必要書類・費用・家庭裁判所での流れを行政書士が解説

法定後見制度を利用するには、 家庭裁判所へ後見・保佐・補助開始の申立てを行う必要があります。

しかし、実際に申立てをするとなると、 「どこの家庭裁判所へ申し立てるのか」 「誰が申立てできるのか」 「何を準備すればよいのか」 と分からないことも多いと思います。

この記事では、 法定後見制度を利用するための申立ての流れ、 申立人、必要書類、費用、申立て後の手続き について行政書士が解説します。

成年後見の申立てを検討している方へ

「親の認知症が進み、財産管理が難しくなった」
「施設や金融機関から成年後見を検討するよう言われた」
「そもそも後見・保佐・補助のどれになるのか分からない」

このような段階からご相談いただけます。

法定後見制度を利用するには家庭裁判所への申立てが必要

法定後見制度は、 認知症・知的障害・精神障害などによって 判断能力が十分でない方を 法律面から支援するための制度です。

利用するためには、 本人の判断能力の程度などに応じて、

  • 後見開始
  • 保佐開始
  • 補助開始

の審判を家庭裁判所へ申し立てます。

申立先は、原則として本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。
申立人の住所ではなく、 成年後見制度による支援を受ける 本人の住所地を基準に管轄を確認します。

法定後見申立ての基本的な流れ

法定後見制度の申立ては、 おおむね次のような流れで進みます。

1 成年後見制度を利用する必要性を確認する

まず、 本人の判断能力や生活状況、 現在困っている手続きなどを確認します。

預貯金の管理、不動産売却、遺産分割、 施設入所の契約など、 本人だけでは行うことが難しい法律行為があるかを整理します。

2 医師の診断書など必要書類を準備する

家庭裁判所の最新の書式を確認し、 医師に成年後見制度用の診断書の作成を依頼するなど、 申立てに必要な資料を準備します。

3 申立書・財産目録などを準備する

本人の生活状況、財産、収支、親族関係などを整理し、 家庭裁判所へ提出する申立書や財産目録などを準備します。

4 家庭裁判所へ申し立てる

必要書類がそろったら、 原則として本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ 申立てを行います。

5 家庭裁判所による審理・調査

家庭裁判所では、 提出された資料を確認し、 必要に応じて申立人・本人・成年後見人等候補者などから 事情や意向を確認します。

本人の判断能力をより詳しく確認する必要がある場合には、 医師による鑑定が行われることもあります。

6 審判・成年後見人等の選任

家庭裁判所が後見等を開始する必要があると判断すると、 後見・保佐・補助開始の審判がされ、 成年後見人等が選任されます。

7 審判確定・後見登記

審判が確定すると、 法定後見制度による支援が始まります。

後見等が開始したことや成年後見人等に関する事項は、 成年後見登記制度により登記されます。

誰が申立てできる?

成年後見制度は、 誰でも自由に申立てできるわけではありません。

後見開始等の申立てができる人は 法律で定められています。

本人 成年後見制度による支援を受ける本人自身です。
配偶者 本人の夫または妻です。
四親等内の親族 親、子、兄弟姉妹、祖父母、孫、 おじ・おば、甥・姪、いとこなどが含まれます。
その他法律で定められた者 成年後見人等、任意後見人、 市区町村長、検察官など、 法律上申立権を有する者です。

四親等内の親族とは?

代表的な四親等内の親族として、 次のような人が挙げられます。

  • 父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹
  • 甥・姪
  • おじ・おば
  • いとこ

身寄りがない場合はどうする?

本人に申立てを行うことができる親族がいない場合や、 親族による申立てが困難な場合などには、 一定の要件のもとで 市区町村長による申立て が行われることがあります。

法定後見の申立てに必要な主な書類

必要書類は本人の状況や申立ての内容、 申立先の家庭裁判所などによって異なりますが、 一般的には次のような書類・資料を準備します。

種類 主な書類・資料
申立関係 申立書、申立事情説明書、 親族関係図など
本人関係 戸籍謄本、住民票または戸籍附票、 登記されていないことの証明書など
医療・生活状況関係 成年後見制度用の診断書、 本人情報シートなど
財産関係 財産目録、 預貯金・保険・不動産・有価証券などの資料
収支関係 収支予定表、 年金・給与等の収入資料、 施設費・家賃・医療費などの支出資料
候補者関係 成年後見人等候補者を立てる場合には、 候補者に関する事情説明書など
必要書類は申立先の家庭裁判所の最新案内を確認してください。
書式や必要となる添付資料、 郵便料などが変更されることがあります。 実際に申し立てる際には、 申立先の家庭裁判所が案内している 最新の書式・チェックリストを確認することが重要です。
必要書類が多く、何から整理すればよいか分からない方へ

成年後見では、 本人の財産・収支・親族関係・生活状況など、 申立てを検討する段階から整理する事項が多くあります。

現在の状況を確認しながら、 成年後見制度を利用する必要性や 準備すべき事項を整理します。

本人情報シートとは?

成年後見制度の申立てでは、 医師の診断書とあわせて 本人情報シート が利用されます。

本人情報シートは、 本人の生活状況や認知機能、 日常生活上の支援状況などについて、 本人を日頃から支援している福祉関係者などが 記載するための書類です。

医師が診断書を作成する際の参考資料となるほか、 家庭裁判所が本人の判断能力や 必要となる支援を検討するための資料として活用されます。

成年後見人候補者は自分で決められる?

申立ての際に、 親族などを成年後見人等の候補者として 記載することはできます。

ただし、 候補者として記載した人が 必ず成年後見人等に選任されるわけではありません。

成年後見人等を誰にするかは、 本人の状況、財産内容、親族関係、 必要となる支援などを踏まえて 家庭裁判所が判断します。

「家族を候補者に書いた=家族が後見人になる」ではありません。
事案によっては、 親族以外の専門職などが 成年後見人等に選任されることもあります。

申立て後に行われる審理・調査

申立書類を提出すると、 家庭裁判所が内容を審査します。

事案に応じて、

  • 申立人からの事情聴取
  • 本人の意向・状況の確認
  • 成年後見人等候補者からの事情聴取
  • 親族への意向確認
  • 本人の判断能力についての鑑定

などが行われる場合があります。

すべての事件で 同じ調査や鑑定が行われるわけではなく、 本人の状況や申立内容などによって異なります。

鑑定は必ず行われる?

後見開始等の申立てをしたからといって、 すべてのケースで鑑定が実施されるわけではありません。

家庭裁判所が本人の判断能力を確認するために 必要と判断した場合には、 医師による鑑定が行われることがあります。

鑑定が実施される場合には、 別途鑑定費用が必要になります。

申立てにかかる費用

法定後見制度の申立てでは、 主に次のような費用が発生します。

申立手数料 家庭裁判所へ申立てを行うための 収入印紙代です。
後見登記関係の費用 成年後見制度に関する 登記のための費用です。
郵便料 家庭裁判所から関係者へ 書類を送付するための費用です。
鑑定費用 家庭裁判所が鑑定を必要と判断し、 実際に鑑定が行われる場合に必要です。
書類取得費用 戸籍、住民票、登記されていないことの証明書などを 取得するための実費です。
専門家へ依頼する場合の報酬 弁護士・司法書士等へ 申立手続について依頼する場合などには、 別途報酬が発生します。
費用は申立内容や申立先の家庭裁判所によって異なる部分があります。
特に郵便料や鑑定費用などについては、 実際に申し立てる家庭裁判所の最新案内を確認してください。

申立てをすればすぐ後見が始まる?

申立書を提出した時点で、 直ちに成年後見人等として活動できるわけではありません。

家庭裁判所による審理・調査等を経て、 後見等開始の審判と成年後見人等の選任が行われます。

その後、 審判が確定すると 成年後見人等としての職務が始まります。

申立てから審判までに要する期間は、 本人の状況、調査の内容、鑑定の有無などによって異なります。

後見開始後は何をする?

成年後見人に選任されると、 そこで手続きが終了するわけではありません。

選任後は、 本人の財産・収入・支出などを確認し、 財産管理や本人に必要な契約などの 後見事務を開始します。

また、 家庭裁判所の指示に従って、 財産状況や後見事務の内容などを 報告していくことになります。

法定後見は「必要な手続きが終わったら終了」ではありません。
例えば不動産売却や遺産分割を目的として 申立てをした場合でも、 その手続きが終わっただけで 成年後見制度が当然に終了するわけではありません。

法定後見と任意後見の違い

法定後見制度は、 すでに本人の判断能力が不十分になっている場合 に利用を検討する制度です。

一方、 現在は十分な判断能力があり、 将来の認知症などに備えたい場合には、 任意後見制度 を検討することができます。

法定後見 判断能力がすでに不十分な場合に、 家庭裁判所へ申し立てる。
任意後見 判断能力が十分なうちに、 将来支援してもらう人と 公正証書による任意後見契約を締結しておく。

法定後見の申立て前に確認しておきたいこと

成年後見制度の申立てを検討するときには、 少なくとも次の点を整理しておくとよいでしょう。

  • 本人の現在の判断能力
  • 成年後見制度が必要になった具体的な理由
  • 本人の現在の生活状況
  • 本人の預貯金・不動産・保険などの財産
  • 年金などの収入
  • 施設費・家賃・医療費などの支出
  • 本人の親族関係
  • 成年後見人等の候補者がいるか
申立てでは「なぜ成年後見制度が必要なのか」を整理することが重要です。
単に「認知症になったから」ではなく、 預貯金の管理、施設契約、不動産、相続など、 現在どのような問題が生じているのかを確認しておきましょう。

札幌で成年後見について相談したい方へ

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まとめ|法定後見は家庭裁判所への申立てから始まる

法定後見制度を利用するためには、 原則として本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ 後見・保佐・補助開始の申立てを行います。

申立てにあたっては、 本人の判断能力や生活状況だけでなく、 財産・収支・親族関係などについても 資料を準備する必要があります。

申立て後は、 家庭裁判所による審理・調査等が行われ、 必要に応じて鑑定などを経たうえで、 後見等を開始するか、 誰を成年後見人等に選任するかが判断されます。

成年後見制度は開始後も継続的な財産管理や 家庭裁判所への報告などが必要になる制度です。 申立て前に制度の仕組みを理解したうえで利用を検討することが重要です。

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