成年後見人の財産目録・年間収支予定表とは?書き方・必要資料を行政書士が解説

成年後見人に選任された後は、 本人の財産や収支を調査し、 家庭裁判所へ報告するための書類を作成します。

その中でも重要なのが、 財産目録年間収支予定表です。

「どこまで財産を調べればよいのか」
「財産目録には何を書けばよいのか」
「年間収支予定表はどのように作成するのか」

成年後見人に初めて選任された方にとっては、 分かりにくいことも多いと思います。

この記事では、 成年後見人が就任後に作成する 財産目録・年間収支予定表について、 記載する内容や必要となる資料、 作成時の注意点を行政書士が解説します。

成年後見人に選任された後は財産状況を把握する

成年後見人に選任されたら、 まず本人の財産や生活状況を把握する必要があります。

成年後見人は、 本人の財産を本人のために適切に管理する立場です。

そのため、 今後の財産管理を始める前提として、 本人が現在どのような財産を持ち、 どの程度の収入と支出があるのか を確認します。

主に確認するのは、 次のような内容です。

財産 預貯金、不動産、有価証券、 保険、自動車など。
負債 住宅ローン、カードローン、 未払金など。
収入 年金、給与、家賃収入、 各種給付金など。
支出 施設費、家賃、医療費、 介護費、税金、保険料など。

財産目録とは?

財産目録とは、 本人が所有する財産や負債を一覧にした書類 です。

成年後見人は、 本人の財産を調査したうえで、 預貯金、不動産、有価証券、保険、負債などを整理します。

家庭裁判所から指定された書式や案内に従って、 本人の財産状況を記載していきます。

財産目録は「現在の本人の財産状況」を把握するための重要な書類です。
成年後見人が今後どの財産を管理していくのかを明確にし、 家庭裁判所へ本人の財産状況を報告するための基礎となります。

財産目録に記載する主な財産

本人の状況によって異なりますが、 一般的には次のような財産を確認します。

現金

本人が保有している現金を確認します。

自宅や施設などで保管されている現金がある場合には、 金額を確認し、 今後の管理方法についても整理します。

預貯金

本人名義の普通預金、 定期預金などを確認します。

通帳やキャッシュカード、 金融機関から届いた郵便物などから 利用している金融機関を確認します。

必要に応じて金融機関で残高等を確認し、 財産目録へ記載します。

有価証券

株式、投資信託、国債などを 保有している場合には、 証券会社や保有内容を確認します。

証券会社から届いている 取引報告書や残高報告書なども 確認資料になります。

生命保険など

本人が加入している 生命保険や医療保険などの契約を確認します。

保険証券や保険会社からの郵便物、 通帳の保険料引落しなどが 手掛かりになることがあります。

必要に応じて、 保険会社へ成年後見人就任の届出を行い、 契約内容を確認します。

不動産

本人が土地や建物を所有している場合には、 その内容を確認します。

固定資産税の納税通知書、 登記事項証明書などから、 本人が所有する不動産を確認します。

土地については所在・地番、 建物については所在・家屋番号などを確認し、 家庭裁判所の書式に従って記載します。

自動車などの動産

本人が自動車や高額な動産などを所有している場合には、 必要に応じて財産として把握します。

自動車については、 車検証などから所有関係を確認できます。

貸付金など

本人が他人にお金を貸しているなど、 本人が金銭の支払いを受ける権利を持っている場合には、 その内容についても確認します。

借金などの負債も記載する

財産目録では、 プラスの財産だけでなく、 本人が負っている債務についても確認します。

例えば、

  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • カードローン
  • クレジットカードの未払金
  • その他の借入金

などです。

契約書、請求書、 通帳の引落履歴、 金融機関等からの郵便物などを確認します。

財産調査では負債の確認も重要です。
預貯金や不動産だけを確認しても、 本人の実際の財産状況を正確に把握することはできません。 借入金や未払金についても確認しましょう。

財産目録には裏付け資料も準備する

財産目録は、 金額だけを書けばよいというものではありません。

家庭裁判所から求められる内容に応じて、 財産の内容を確認できる資料を準備します。

例えば、

財産 主な確認資料
預貯金 通帳、残高が確認できる資料など
有価証券 残高報告書、取引報告書など
保険 保険証券、契約内容が分かる資料など
不動産 登記事項証明書、固定資産税関係資料など
自動車 車検証など
負債 契約書、残高証明書、請求書など
実際に提出する資料は家庭裁判所からの案内を確認してください。
事件や財産内容などによって必要となる資料は異なります。 家庭裁判所から指定された書式・添付資料・提出方法に従って対応します。
財産目録の作成でお困りの方へ

成年後見人に選任された後は、 本人の預貯金・不動産・保険・有価証券・負債などを確認し、 家庭裁判所の案内に従って財産目録を作成していきます。

「どこまで財産を調査すればよいか分からない」
「財産目録に何を記載すればよいか分からない」
「通帳や不動産などの資料整理で困っている」

このような場合もご相談いただけます。

財産目録を作成するときの注意点

本人名義の財産を漏れなく確認する

成年後見人が把握していなかった財産が 後から見つかることもあります。

通帳や契約書だけでなく、 本人宛ての郵便物、 過去の入出金履歴なども確認すると、 他の財産や契約を把握する手掛かりになります。

本人の財産と成年後見人自身の財産を分ける

成年後見人は、 本人の財産を管理する立場です。

成年後見人自身のお金と 本人のお金を混在させず、 明確に区別して管理する必要があります。

財産の動きを説明できるようにする

成年後見人として財産を管理する以上、 収入・支出について 後から説明できるようにしておくことが重要です。

通帳、領収書、請求書など、 必要な資料を適切に保管しておきましょう。

年間収支予定表とは?

年間収支予定表とは、 本人の今後1年間のおおよその収入と支出を整理する書類 です。

本人が毎月どの程度の収入を得て、 生活費・施設費・医療費などに どの程度支出する予定なのかを整理します。

年間収支予定表を作成することで、 今後の本人の生活や財産管理について 見通しを立てやすくなります。

年間収支予定表は「将来の予定」を整理する書類です。
実際の収入・支出が予定どおりになるとは限りませんが、 本人の財産を適切に管理するための基準になります。

年間収支予定表に記載する主な収入

本人が今後受け取る予定の収入を確認します。

代表的なものとして、

  • 老齢年金
  • 障害年金
  • 遺族年金
  • 給与
  • 家賃収入
  • 各種給付金
  • その他の継続的な収入

などがあります。

年金については、 年金額改定通知書や振込通知書、 通帳の入金履歴などから確認します。

年間収支予定表に記載する主な支出

本人が今後負担する予定の支出についても確認します。

住居・施設関係 家賃、施設利用料、 管理費など。
医療・介護関係 医療費、介護サービス費、 薬代など。
生活費 食費、日用品費、 衣類費など。
税金・社会保険料 住民税、固定資産税、 健康保険料、介護保険料など。
公共料金・通信費 電気、ガス、水道、 電話、インターネットなど。
その他 保険料、借入金返済、 定期的に必要となる費用など。

年間収支予定表を作るために確認する資料

年間収支予定表を作成する際には、 現在の収入・支出が分かる資料を確認します。

主な確認資料
  • 年金額改定通知書・振込通知書
  • 給与明細
  • 通帳の入出金履歴
  • 施設利用料の請求書
  • 賃貸借契約書
  • 医療費・介護費の請求書
  • 固定資産税等の納税通知書
  • 保険料の通知書
  • 公共料金・通信費の請求書
  • ローン等の返済予定が分かる資料

月額と年額を整理する

収入・支出には、 毎月発生するものと、 年に数回しか発生しないものがあります。

例えば、 施設費や家賃は毎月発生することが多い一方、 固定資産税や一部の保険料などは 年に数回の支払いとなることがあります。

そのため、 年間収支予定表を作成するときには、 月額だけを見るのではなく、 年間でどの程度の収支になるのか を確認することが重要です。

年間収支予定表は今後の財産管理に役立つ

年間収支予定表を作成すると、 本人の財産が今後どのように推移するのかを 把握しやすくなります。

例えば、 年間の支出が収入を大きく上回る場合には、 現在の預貯金でどの程度生活を維持できるのかを 考える必要があります。

反対に、 毎年一定の収入が残る場合には、 本人の生活に必要な支出を確保しながら 財産を管理していくことになります。

財産管理の目的は「お金を減らさないこと」だけではありません。
本人の財産は、 本人の生活・医療・介護などのために 適切に利用することが重要です。
年間収支予定表や就任後の報告でお困りの方へ

年金・施設費・医療費・介護費・税金などを整理してみると、 本人の収支状況が想定していたものと異なることもあります。

財産目録や年間収支予定表を含め、 成年後見人に選任された後の事務についてご相談いただけます。

財産目録・年間収支予定表を作成した後は?

財産目録や年間収支予定表を作成した後は、 家庭裁判所からの案内に従って、 必要な資料とともに提出します。

提出する書類や期限は、 家庭裁判所から届いた案内を確認してください。

また、 成年後見人の就任直後には、 家庭裁判所への報告だけでなく、 金融機関、市区町村、年金関係、 施設、保険会社などへの 成年後見人就任の届出が必要になる場合があります。

提出後も継続的な財産管理が必要

財産目録や年間収支予定表を提出すれば、 成年後見人の仕事が終了するわけではありません。

その後も、 本人の収入・支出を管理し、 本人の生活に必要な契約や手続きを行いながら、 継続して後見事務を行います。

また、 家庭裁判所の求めに応じて、 本人の財産状況や後見事務について 定期的に報告していくことになります。

領収書・請求書などは適切に保管しておきましょう。
成年後見人は、 本人の財産をどのように管理・使用したのかを 説明できるようにしておく必要があります。 日頃から記録と資料を整理しておくことが重要です。

成年後見人の就任後に困りやすいポイント

財産がどこにあるか分からない 本人が認知症などで説明できず、 通帳や契約書も整理されていないケースがあります。
財産目録の記載方法が分からない どの財産をどのように記載するのか、 判断に迷うことがあります。
収入・支出を把握できない 施設費、医療費、税金など、 支出先が多く整理が必要になることがあります。
家庭裁判所への報告が不安 必要な書類や添付資料を どのように整理すればよいか迷うことがあります。

成年後見人の就任後の流れ

成年後見人に選任された後の 大まかな流れを整理すると、 次のようになります。

  • 1.審判書・家庭裁判所からの案内を確認
  • 2.後見登記事項証明書を取得
  • 3.本人の財産・負債を調査
  • 4.本人の収入・支出を確認
  • 5.財産目録を作成
  • 6.年間収支予定表を作成
  • 7.家庭裁判所へ必要書類を提出
  • 8.金融機関等への就任届を進める
  • 9.継続的な財産管理・身上保護を行う
  • 10.家庭裁判所へ定期的に報告する

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まとめ|財産目録と年間収支予定表は後見事務の基礎になる

成年後見人に選任された後は、 本人の財産・負債・収入・支出を調査し、 財産目録や年間収支予定表に整理していきます。

財産目録では、 預貯金、不動産、有価証券、保険などの財産だけでなく、 借入金などの負債についても確認します。

年間収支予定表では、 年金などの収入と、 施設費・医療費・介護費・税金などの支出を整理し、 今後の本人の生活と財産管理について見通しを立てます。

これらの書類は、 家庭裁判所へ報告するためだけのものではなく、 成年後見人が本人の財産を適切に管理していくための 基礎となる重要な資料です。

作成後も、 実際の収入・支出や本人の生活状況を確認しながら、 継続的に適切な後見事務を行っていくことが重要です。

財産目録・年間収支予定表の作成でお困りの方へ

行政書士トリキ法務事務所では、 成年後見制度や後見事務に関するご相談に対応しています。

「成年後見人に選任されたが、何から始めればよいか分からない」
「財産目録にどこまで記載すればよいか分からない」
「年間収支予定表の収入・支出を整理できない」
「家庭裁判所への報告に向けて書類を整理したい」

このような段階からご相談いただけます。

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