成年後見制度とは?法定後見・任意後見・後見人の役割を行政書士が解説
成年後見制度は、認知症・知的障害・精神障害などによって 判断能力が十分でない方の権利や財産を守り、 生活を法律面から支援するための制度です。
預貯金の管理、介護サービスや施設入所に関する契約、 本人に必要な各種手続きなどについて、 本人の状況に応じて成年後見人等が支援します。
成年後見制度には、 判断能力が不十分になった後に利用する 「法定後見制度」と、 判断能力が十分なうちに将来に備える 「任意後見制度」があります。
この記事では、 成年後見制度の仕組みや法定後見・任意後見の違い、 後見・保佐・補助の違い、 成年後見人等ができること・できないことまで 行政書士が解説します。
目次
- 1 成年後見制度とは?
- 2 成年後見制度には「法定後見」と「任意後見」がある
- 3 法定後見制度とは
- 4 後見・保佐・補助の違い
- 5 成年後見人は誰が決める?
- 6 成年後見人が行う主なこと
- 7 成年後見人にもできないことがある
- 8 自宅を売却する場合は注意が必要
- 9 成年後見制度を利用する具体的なケース
- 10 法定後見を利用する基本的な流れ
- 11 任意後見制度とは
- 12 成年後見制度は一度始めるとどうなる?
- 13 成年後見制度を検討するときのポイント
- 14 成年後見について詳しく知りたい方へ
- 15 元気なうちから将来に備えたい方へ
- 16 成年後見人に選任された方へ
- 17 まとめ|成年後見制度は本人を守るための制度
- 18 札幌で成年後見についてお悩みの方へ
成年後見制度とは?
成年後見制度は、 判断能力が十分でない方について、 本人の権利や財産を保護しながら 生活を支援するための制度です。
例えば認知症などによって、
- 預貯金を自分で適切に管理できない
- 必要な支払いができない
- 介護サービスなどの契約内容を十分に理解できない
- 施設入所に必要な契約が難しい
- 不利益な契約をしてしまう心配がある
といった場合に、 本人の判断能力の程度に応じた支援を行います。
本人の意思を尊重しながら、 本人の権利や財産を守り、 本人らしい生活を支えることが制度の重要な目的です。
成年後見制度には「法定後見」と「任意後見」がある
成年後見制度は、大きく次の2つに分けられます。
「成年後見が必要なのか分からない」 「施設入所や預貯金の手続きができず困っている」 といった段階からご相談いただけます。
法定後見制度とは
法定後見制度は、 認知症・知的障害・精神障害などによって 本人の判断能力がすでに不十分になっている場合に 利用を検討する制度です。
本人や親族などが家庭裁判所へ申立てを行い、 本人の判断能力の程度などに応じて 後見・保佐・補助 のいずれかが開始されます。
後見・保佐・補助の違い
法定後見制度は、 本人の判断能力の程度によって 3つの類型に分かれています。
本人の判断能力の程度や生活状況などを踏まえて、 家庭裁判所が判断します。
成年後見人は誰が決める?
法定後見制度では、 成年後見人等を選任するのは 家庭裁判所です。
申立ての際に候補者を記載することはできますが、 必ずその候補者が選任されるとは限りません。
本人の状況や財産、 必要となる支援などを考慮して、 家庭裁判所が適任者を選任します。
親族が選任される場合もあれば、 弁護士・司法書士・社会福祉士などの 専門職が選任される場合もあります。
法定後見制度では、 誰を成年後見人等に選任するかについて 家庭裁判所が最終的に判断します。
成年後見人が行う主なこと
成年後見人の業務は、大きく 財産管理と 身上保護 に関する法律行為に分けて考えることができます。
1.財産管理
本人の財産を把握し、 本人の利益のために適切に管理します。
2.身上保護に関する法律行為
成年後見人は、 本人の生活・医療・介護などに必要となる 契約や手続きを行います。
- 介護サービスの契約
- 施設入所に関する契約
- 医療機関との契約や費用の支払い
- 住居に関する契約
- 本人の生活環境を整えるための各種手続き
成年後見人自身が直接介護をしたり、 日常生活の世話をしたりすることが 成年後見人の法的な職務そのものではありません。
成年後見人にもできないことがある
成年後見人になれば、 本人に代わって何でも決められるわけではありません。
成年後見人は本人の利益を考えて職務を行います。 本人の財産を家族の都合で自由に処分できる制度ではありません。
自宅を売却する場合は注意が必要
成年後見人が本人所有の不動産について 売却などの手続きを行うことがあります。
ただし、本人の 居住用不動産 を処分する場合には、 家庭裁判所の許可が必要です。
「施設へ入居したので空き家になったから」 という理由だけで、 成年後見人が自由に自宅を売却できるわけではありません。
認知症で財産は凍結する?銀行口座・不動産への影響と対策 →
成年後見制度を利用する具体的なケース
成年後見制度は、 本人の判断能力が低下しただけで 必ず利用しなければならない制度ではありません。
本人の生活や財産管理について 実際に法律上の支援が必要になった場合に 利用を検討します。
認知症が進み、 本人自身で預貯金の管理や 必要な支払いを行うことが難しくなったケースです。
成年後見人等が選任されることで、 本人のために必要な財産管理を行います。
本人だけでは施設入居に必要な契約内容を 十分に理解することが難しい場合があります。
成年後見人等が権限の範囲内で 本人に必要な契約を行い、 生活環境を整えます。
本人が相続人となったものの、 判断能力が不十分で 遺産分割協議を行うことが難しい場合があります。
このような場合にも、 成年後見制度等の利用が必要になることがあります。
判断能力が低下すると、 本人にとって不利益な契約をしてしまう リスクが高くなることがあります。
法定後見制度には、 類型や権限に応じて取消権などが認められ、 本人の権利保護につながる場合があります。
成年後見制度が必要になるのはどんなとき? →
法定後見を利用する基本的な流れ
法定後見制度は、 家庭裁判所への申立てから始まります。
① 家庭裁判所へ申立て
↓
② 家庭裁判所による審理・調査
↓
③ 必要に応じて本人の判断能力を確認
↓
④ 後見・保佐・補助の開始審判
↓
⑤ 成年後見人等の選任
↓
⑥ 成年後見人等による支援開始
誰が申立てできる?
法定後見開始等の申立ては、 本人・配偶者・四親等内の親族など、 法律で定められた者が行うことができます。
身寄りがないなど一定の場合には、 市区町村長による申立てが行われることもあります。
法定後見制度の申立て方法を見る →
任意後見制度とは
法定後見とは別に、 将来の判断能力低下に備える制度として 任意後見制度があります。
任意後見制度では、 本人に十分な判断能力があるうちに、
- 誰に支援してもらうか
- どのような事務を任せるか
などを本人自身が決め、 任意後見受任者との間で 公正証書による任意後見契約 を締結します。
ただし、 任意後見契約を締結しただけで 直ちに任意後見人としての権限が発生するわけではありません。
その後、 本人の判断能力が不十分となり、 家庭裁判所が 任意後見監督人 を選任すると、 任意後見契約の効力が生じます。
任意後見だけでなく、 遺言、財産管理等委任、死後事務委任などを 組み合わせて準備することで、 「現在」「判断能力が低下した後」「亡くなった後」 までを整理することができます。
札幌の終活・遺言・任意後見相談を見る →認知症になる前にできる生前対策 →
成年後見制度は一度始めるとどうなる?
法定後見制度は、 特定の手続きが終わったからといって 原則として自由に終了できる制度ではありません。
本人の判断能力が回復するなど 法律上の終了事由がない限り、 本人が亡くなるまで継続することがあります。
その間、 成年後見人等は本人の財産管理などを行い、 家庭裁判所の監督を受けながら 後見事務を続けます。
申立てをする前に、 成年後見制度を利用する必要性や 開始後の影響について確認することが重要です。
成年後見制度を検討するときのポイント
成年後見制度を利用するかどうかは、 「認知症になったかどうか」だけで 判断するものではありません。
次のような点を整理して検討します。
- 本人の現在の判断能力
- 本人自身でできない法律行為があるか
- 預貯金などの財産管理に支障が生じているか
- 施設入所など必要な契約があるか
- 本人に代わって法律行為を行う必要があるか
- 他の支援方法で対応できるか
本人の判断能力や現在困っている手続きを確認しながら、 成年後見制度を検討する必要があるのかを整理します。
成年後見について詳しく知りたい方へ
元気なうちから将来に備えたい方へ
まだ十分な判断能力があり、 将来の認知症や亡くなった後のことまで 自分自身で決めておきたい場合には、 法定後見とは異なる準備を検討できます。
例えば、
- 将来支援してもらう人を決めておく → 任意後見
- 元気なうちから財産管理を頼む → 財産管理等委任
- 亡くなった後の財産の承継を決める → 遺言
- 葬儀・納骨・契約解約などを頼む → 死後事務委任
札幌の終活相談を見る →
成年後見人に選任された方へ
親族などが成年後見人に選任された場合には、 就任後に本人の財産や収支を把握し、 家庭裁判所への報告や 関係機関への届出などを進める必要があります。
まとめ|成年後見制度は本人を守るための制度
成年後見制度は、 認知症・知的障害・精神障害などによって 判断能力が十分でない方の 権利や財産を守るための制度です。
すでに判断能力が不十分な場合には 法定後見制度を、 将来の判断能力低下に備える場合には 任意後見制度を検討します。
また、法定後見には 本人の判断能力に応じて 後見・保佐・補助 という3つの類型があります。
成年後見制度を利用する際には、 「何のために後見が必要なのか」を明確にしたうえで、 本人の意思や生活状況を踏まえて 検討することが重要です。
終活は何から始める?最初にやること6ステップ →
札幌で成年後見についてお悩みの方へ
成年後見制度は、 本人の判断能力や生活状況、 必要となっている手続きによって 検討すべき内容が異なります。
「親の認知症が進み財産管理が難しくなった」
「施設入所や預貯金の手続きで困っている」
「成年後見制度を利用する必要があるのか分からない」
このような段階からご相談いただけます。
成年後見相談の内容や対応については 札幌の成年後見相談ページ もご確認ください。

