任意後見と法定後見
成年後見制度には、任意後見と法定後見があります。
今回はその違いなどを簡単にご紹介いたします。
目次
任意後見
ご本人に十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が低下した場合に備え、信頼できる方に支援してもらいたい内容を公正証書(任意後見契約)で結び、支援を受ける制度です。判断能力の低下し、家庭裁判所に申立てをすることで、任意後見監督人が選任され、任意後見が開始します。
どんな人が利用するの?
- 夫が亡くなって一人になってしまいました。子供もいないので今後が心配で困っています。
- これから姪に世話になることになりました。姪には手当を支払いたい。
- 今は元気ですが、将来はどうなるか・・・。信頼できる人に自分の代わりを頼みたい。
一緒に結ぶと、もっと安心
任意後見契約を結ぶ際、事務委任契約、見守り契約を一緒に結ぶと、より安心して暮らすことができます。
見守り契約
見守り契約を結んでおくと、心身とも元気なうちから、見守り契約受任者が見守ってくれます。また定期的な訪問や電話で本人の生活状況を確認し、生活での困りごとなどのご相談もできます。
事務委任契約
任意後見契約と一緒に事務委任契約を結んでおくと、本人の判断能力は問題ないけれど、足腰が弱ったり、一時的に入院したときなどに、事務委任契約受任者が本人をお手伝いします。
死後にも備えるなら
死後事務委任契約
死後事務委任契約は、葬儀や納骨などの希望を実現してもらう契約です。
遺言では記載できない遺品整理なども、あらかじめお願いしておくことができます。
法定後見
本人の判断能力が不十分な場合に、本人を法的に保護し支援する制度です。
「補助」「保佐」「後見」の3つに分かれ、判断能力の程度等、本人の状況により家庭裁判所が判断します。
家庭裁判所によって選任された成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)が本人の利益を考慮し、本人を代理して法律行為を行います。
法定後見の類型
- 補助
判断能力が不十分な方 - 保佐
判断能力が著しく不十分な方 - 後見
判断能力が欠けている状態の方
申立の手順
- 家庭裁判所に申立
本人の住所地を管轄する家庭裁判所 - 審理
書類審査・鑑定・調査官の調査 - 審判
後見人等を選任 - 審判決定
- 法定後見開始
申立てをすることができる人は、本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長など
まとめ
成年後見制度とは、認知症や精神上の障害ににより判断能力の不十分な人の日常生活を尊重し、様々な支援をする制度です。
判断能力が不十分な場合、介護施設を利用するための契約や、医療・入院契約などの法律行為や、不動産や現金・預貯金などの財産を適切に管理することが困難になったり、詐欺被害にあわないか不安になったりします。
成年後見制度を利用することによって、本人に代わり契約をしたり、財産の管理をお手伝いすることで、支えていくことができます。
成年後見制度は、信頼できる人と公正証書により元気なうちに契約しておく任意後見制度と、判断能力が十分でないときに利用する法定後見制度があります。
現在の状況に合わせ、安心して暮らしていくために制度の活用をお考え下さい。
営業時間 9:00-18:00(土日も対応)