認知症対策~預貯金編~

今回は預貯金の認知症対策についてご紹介いたします。それぞれメリットとデメリットがあるので、それぞれに合った対策が必要です。

預貯金の認知症対策

代理人カード

代理人カード(家族カード)は、預金者のキャッシュカードとは別に発行される親族のキャッシュカードをいいます。

メリット
  • 本人が直接銀行に行く手間を省ける
  • 本人が緊急事態でも、代理人が資金を引き出して支払い等を行うことができる
  • 正式な代理権が付与されるため、銀行とのトラブルを避けやすい
デメリット
  • 信頼できる人物を選ばなければ、不正利用のリスクがある
  • 銀行により発行や使用に制限や手数料がかかる
  • 本人の判断能力が低下した後は取引できなくなる可能性がある
財産管理委任契約

財産管理委任契約とは、自分で財産管理を行うことが困難となった場合に備えて、第三者に財産管理を委任する契約をいいます。

メリット
  • 財産の管理が困難となった場合でも、信頼できる人に管理を任せることで、安心して生活できる
  • 専門家(弁護士、司法書士、行政書士など)に依頼することで、法律に基づいた適切な管理が期待できる
  • 財産管理だけでなく、生活支援も任せることができ、個々に合わせた柔軟な対応が期待できる
デメリット
  • 信頼できない人に任せると、財産を悪用されてしまうリスクがある
  • 専門家に依頼する場合、契約書の作成や管理に費用がかかる
  • 契約内容を明確にしないと、必要な支援が受けられないなどのトラブルになる可能性がある
任意後見契約

任意後見契約とは、認知症などで判断能力が低下してしまった場合に備えて、判断能力が十分あるうちに後見人を決めておく制度です。

メリット
  • 自分の希望に沿った生活や医療、財産管理を行ってもらうことができ、自分の意思を反映できる
  • 契約内容を詳細に決めることができ、希望に合わせて自由に設定ができる
  • 将来のことを予め計画し、精神的な安心感を得ることができる
デメリット
  • 専門家に依頼する場合の管理費用や、公証人に依頼する際に手数料がかかる
  • 契約内容の変更や解約の手続きが複雑で、簡単には行えないことがある
  • 選んだ後見人が期待通りに動いてくれない場合の対応が難しいことがある
家族信託

家族信託とは、お金や財産などの財産の管理や処分を信頼できる家族に託す制度です。

メリット
  • 家族信託を利用することで、遺産分割の際の争いを未然に防ぐことができる
  • 財産の管理だけでなく、財産の運用も任せることができる
  • 家族信託を利用して財産の管理を行うことで、絶税効果が期待できる
デメリット
  • 信託の設定や管理には、専門家(弁護士、税理士など)の助けが必要なため、高額な費用がかかることがある
  • 信託制度は法律や税制が複雑であり、適切に利用するために十分な知識を要する
  • 信託契約が長期間にわたる場合、状況変化に柔軟な対応ができないことがある
生前贈与

生前贈与とは、不動産や金銭などの財産を元気なうちに無償で譲渡することをいいます。

メリット
  • 生前に贈与を行うことで、相続時の財産が減少し、相続税の負担を軽減することができる
  • 贈与者の意思を反映した財産の配分が可能で、遺産分割時のトラブルを防ぐことができる
  • 子供や孫などに早めに財産を譲渡することで、家族全体の経済的安定が図れる
デメリット
  • 一定額以上の贈与には贈与税が課され、場合により相続税より高くなることがある
  • 計画的に財産の贈与を行わないと、自身の生活資金が不足する可能性がある
  • 認知症が進行してしまうと、贈与契約が無効とされる可能性がある
まとめ

預貯金の認知症対策には、多くの方法があります。今後の生活のことを考え、しっかりと計画して行う必要があります。自分にあった対策に不安のある方は、専門家に相談することをおすすめします。

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