後見人になってから最初にすること①
今回は後見人に就任したら最初に行うことをまとめました。
就任当初には様々なことを行う必要があります。順番に行っていきましょう。
目次
後見人に就任したら行うこと①
後見登記事項証明書の取得
一般的に後見人として登記されると、家庭裁判所からその旨の通知書が届きます。通知書が届いたら法務局で後見登記事項証明書を取得しましょう。
後見登記事項証明書について
後見登記事項証明書には、成年後見に関する情報が記載されていて、成年後見に関する公的な証明書の役割を果たします。銀行などの金融機関との各種取引や、不動産の売買契約、介護サービスの利用契約など、成年後見人として行う手続きにおいて、後見登記事項証明書は必要になってきます。
後見登記事項証明書の取得方法
全国の法務局・地方法務局(支局・出張所を除く)の戸籍課の窓口で取得することができます。
また、郵送での請求もできるので、自宅から法務局まで遠い場合は郵送請求が便利です。この場合、取り扱いは東京法務局になり、返送まで少し時間がかかります。
請求の際には本人確認書類(運転免許証など)を用意しましょう。
本人の財産調査
後見人に就任すると、ただちに本人の財産状況を調査し、財産目録を作成し、定められた期間内に家庭裁判所に提出する必要があります。審判からおおよそ2カ月後が提出期限となっていますので、速やかに財産調査を行いましょう。
この調査の際、先ほどの後見登記事項証明書を各窓口に持参し、情報の開示などをしてもらい、具体的な調査を行っていきます。
預貯金等の調査
金融機関で本人の取引状況を調査します。調査を行う際、各金融機関に「成年後見に関する届出書」を提出し、後見人に就任したことを届け出ます。また、後見人の印鑑を銀行印として提出しましょう。
- 預貯金の調査
通帳・銀行印を本人から預ります。通帳を紛失しているものがあれば、再発行の手続きをして各金融機関の残高を確認します。このときに通帳のお金の動きも確認しましょう。この動きが財産調査のヒントになることがあります。 - 貸金庫の調査
貸金庫がある場合、金庫の中に入っているものを調査します。この際、後々のトラブルを防ぐためにも、他の親族など第三者に立合いをお願いするのがいいでしょう。 - 株式などの有価証券の調査
株式などの有価証券、その他金融商品を所有している場合、証券会社に問い合わせて、残高証明書を取り寄せましょう。郵便物などを参考にするとよいでしょう。 - 保険契約の調査
生命保険等に加入している形跡がある場合は、保険会社に問い合わせを行い、契約内容を確認しましょう。
生命保険契約照会制度を利用することで、後見人が一括して対象者の生命保険契約の有無を調べることができます。
不動産の調査
本人が不動産を所有している場合、不動産に関する情報を集めましょう。不動産を特定できたら、固定資産税の支払額や評価額を確認します。
- 不動産の登記事項証明書の取得
本人宛に届いている固定資産税の納税証明書、本人が管理している登記済権利書や登記識別情報通知、購入時の契約書などを預り、不動産について地番や家屋番号を調べましょう。 - 固定資産評価証明書を取得
不動産の固定資産税評価証明書を取得して、評価額を調べます。これは、本人の資産を算出するのに必要になります。 - 固定資産税の支払額の確認
納税通知書を確認し、土地や建物に関する固定資産税の支払金額について確認しましょう。これは、年間の収支を把握するために必要な情報になります。納税通知書を紛失してしまった場合、市区町村役場や市税事務所に問い合わせてみましょう。 - 賃貸物件の契約内容を確認
不動産を賃貸・賃借している場合、契約書の内容を確認しましょう。家賃や更新時期など、財産管理を行なううえで必要な情報です。
その他の資産、マイナス資産の調査
預貯金や不動産以外に価値のありそうなものについても調査しましょう。具体的には、自動車、貴金属、美術品、骨董品などです。
また、マイナスの資産の調査も必要で、本人の借入に関する情報も確認します。具体的には、住宅・自動車・クレジットカードなどのローンです。過去の通帳の履歴や請求書などの郵便物を確認して借入先を調べます。残高が不明な場合には借入先に照会して、取引明細書などを送ってもらいましょう。
まとめ
今回は後見人就任後に行うことの財産調査についてまとめました。財産調査は今後の収支計画を立てる上でとても必要になりますので、慎重に行いましょう。
成年後見制度に関してお困りごとなどございましたら、専門家に相談するとよいでしょう。
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