成年後見人に選任されたら最初にすること|就任後の財産調査・初回報告を行政書士が解説

成年後見人に選任されたら、 まず何をすればよいのでしょうか。

成年後見人の仕事は、 家庭裁判所から選任された時点で終わりではありません。 そこから本人の財産や生活状況を把握し、 後見事務を開始していくことになります。

特に就任直後は、 後見登記事項証明書の取得、 預貯金・不動産・保険・負債などの財産調査、 財産目録等の作成、家庭裁判所への報告 など重要な事務があります。

この記事では、 成年後見人に選任された後、 最初に確認しておきたい手続きについて 行政書士が解説します。

成年後見人に選任されたら何をする?

成年後見人は、 本人の財産管理や生活に必要な法律行為などを行い、 本人の権利や財産を守る役割を担います。

そのため、 就任したらまず 本人の現在の状況を正確に把握すること が重要です。

① 審判内容等を確認 審判書や家庭裁判所からの案内を確認し、 自分の権限や今後必要な手続きを把握します。
② 後見登記事項証明書を取得 金融機関や各種手続きで 成年後見人であることを証明するために使用します。
③ 本人の財産を調査 預貯金、不動産、保険、有価証券、 負債などを確認します。
④ 財産目録等を作成 調査した内容を整理し、 家庭裁判所から指定された期限・方法に従って報告します。
まず家庭裁判所から届いた書類を確認してください。
就任後に提出する書類や期限などは、 事件や家庭裁判所からの指示によって確認が必要です。 「何か月以内」と一律に判断せず、 審判書や家庭裁判所から届いた案内を確認して進めましょう。

STEP1|審判書・家庭裁判所からの案内を確認する

1 自分が何をする必要があるのか確認する

成年後見人に選任されたら、 まず審判書や家庭裁判所から届いた書類を確認します。

特に確認しておきたいのは、

  • 審判の内容
  • 審判が確定したか
  • 成年後見人としての権限
  • 家庭裁判所へ提出する書類
  • 提出期限
  • 今後の報告方法

などです。

就任直後は行うことが多いため、 家庭裁判所からの案内を確認しながら 順番に進めることが重要です。

STEP2|後見登記事項証明書を取得する

2 成年後見人であることを証明する

後見等が開始すると、 成年後見人等に関する事項が 成年後見登記制度によって登記されます。

登記事項証明書は、 成年後見人として各種手続きを行う際に 成年後見人であることなどを証明するために使用します。

例えば、

  • 銀行などの金融機関
  • 証券会社
  • 保険会社
  • 行政機関
  • 不動産に関する手続き
  • 介護・福祉関係の契約

などで提示・提出を求められることがあります。

登記事項証明書はどこで取得する?

成年後見登記に関する登記事項証明書は、 法務局の所定の窓口や郵送などによって 取得することができます。

実際に取得する際には、 法務局の最新の案内を確認し、 必要な申請書・本人確認書類等を準備します。

複数通取得しておくと手続きを進めやすい場合があります。
就任直後は金融機関、保険会社など 複数の機関で手続きをすることがあります。 原本提示で足りるのか、提出が必要なのかは 各機関に事前に確認しておくとよいでしょう。

STEP3|本人の財産を調査する

3 本人の財産をできる限り正確に把握する

成年後見人に就任したら、 本人がどのような財産を持っているのかを調査します。

財産調査は、 今後の財産管理や収支計画を考えるうえで 非常に重要です。

預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、 借入金などの負債も確認します。

主な調査対象
  • 現金
  • 預貯金
  • 株式・投資信託などの有価証券
  • 生命保険などの保険契約
  • 土地・建物などの不動産
  • 自動車
  • 貴金属・美術品など価値のある動産
  • 貸付金
  • 住宅ローン・カードローンなどの負債
成年後見人に選任されたものの、何から始めればよいか分からない方へ

就任直後は、財産調査、金融機関への届出、 収支の確認、家庭裁判所への報告など、 短期間に確認する事項が多くあります。

現在の状況を整理しながら、 今後必要となる後見事務についてご相談いただけます。

預貯金を調査する

まず、 本人が利用している金融機関を確認します。

手元にある通帳だけでなく、

  • キャッシュカード
  • 金融機関から届いた郵便物
  • 過去の入出金履歴
  • 年金の振込先
  • 公共料金等の引落口座

なども確認すると、 本人が利用している金融機関を把握する手掛かりになります。

金融機関へ成年後見人就任の届出を行う

本人が利用している金融機関が分かったら、 成年後見人に就任したことを届け出ます。

必要書類や口座の取扱方法は 金融機関によって異なるため、 各金融機関に確認して手続きを行います。

金融機関の手続方法は一律ではありません。
登記事項証明書、成年後見人の本人確認書類、 印鑑などを求められることがありますが、 必要書類や届出方法は金融機関ごとに確認してください。

過去の入出金も確認する

預金残高だけではなく、 可能な範囲で過去の入出金も確認します。

入出金履歴を見ることで、

  • 保険料の支払い
  • 借入金の返済
  • 公共料金
  • 施設費・医療費
  • 証券会社との取引
  • 定期的な収入

など、 他の財産や契約を把握する手掛かりになることがあります。

貸金庫がある場合

本人が金融機関の貸金庫を利用している場合には、 その内容についても確認を検討します。

貸金庫には、

  • 不動産関係書類
  • 保険関係書類
  • 貴金属
  • 重要な契約書
  • 遺言書に関する資料

などが保管されている可能性があります。

開扉の方法や必要書類については、 利用している金融機関に確認します。

貸金庫の内容は記録を残しておくことが重要です。
後から財産管理について疑義が生じないよう、 開扉日時や確認した物品などについて 適切に記録を残しておくとよいでしょう。

株式・投資信託などの有価証券を調査する

本人が株式・投資信託などを所有している場合には、 証券会社等へ確認します。

証券会社から届いている 取引報告書や年間取引報告書、 配当金に関する書類などが手掛かりになります。

証券会社が判明したら、 成年後見人として必要な届出を行い、 保有している金融商品の内容や残高などを確認します。

生命保険などを調査する

本人が生命保険や医療保険などに 加入している場合には、 契約内容を確認します。

手掛かりとして、

  • 保険証券
  • 保険会社からの郵便物
  • 通帳からの保険料引落し
  • 確定申告・年末調整関係の資料

などがあります。

保険会社が分かった場合には、 成年後見人に就任したことを届け出たうえで、 契約内容等を確認します。

生命保険契約照会制度

本人が生命保険に加入している可能性はあるものの、 どの保険会社と契約しているか分からない場合には、 一般社団法人生命保険協会の 生命保険契約照会制度 を利用できる場合があります。

成年後見人等についても、 所定の要件・手続きのもとで 照会制度を利用できる場合があります。

不動産を調査する

本人が土地や建物を所有している場合には、 不動産の内容を確認します。

まずは、

  • 固定資産税の納税通知書
  • 登記識別情報通知・権利証
  • 不動産の売買契約書
  • 賃貸借契約書

などを確認します。

登記事項証明書を確認する

所在・地番・家屋番号などが分かったら、 不動産の登記事項証明書を取得して 権利関係を確認します。

所有者だけでなく、 抵当権などが設定されていないかについても 確認しておくことが重要です。

固定資産税・評価額を確認する

固定資産税の納税通知書などから、 本人が負担している固定資産税を確認します。

必要に応じて固定資産評価証明書などを取得し、 不動産の評価額を確認します。

固定資産税は、 今後の年間収支を把握するうえでも 確認しておきたい支出です。

賃貸・賃借している不動産も確認する

本人が不動産を貸している場合には、 家賃収入や賃貸借契約の内容を確認します。

一方、 本人が賃貸住宅に住んでいる場合には、 家賃、更新時期、管理会社などを確認します。

自動車・貴金属などその他の財産を確認する

預貯金や不動産以外の財産についても確認します。

例えば、

  • 自動車
  • 貴金属
  • 美術品・骨董品
  • 高額な動産
  • 貸付金

などです。

すべての日用品を細かく財産評価するという意味ではなく、 本人の財産として把握しておく必要があるものを 確認していきます。

借金・ローンなどの負債も調査する

財産調査では、 プラスの財産だけを調べればよいわけではありません。

本人に借入れがある場合には、 その内容や残高についても確認します。

例えば、

  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • カードローン
  • クレジットカードの未払金
  • その他の借入金

などです。

通帳の引落履歴、 契約書、 請求書、 金融機関やカード会社から届いた郵便物などを 確認します。

本人の財産と成年後見人自身の財産は明確に分けて管理します。
成年後見人は本人の財産を管理する立場です。 自分自身のお金と混在させず、 後から収支を説明できるよう 記録を残しながら管理することが重要です。

STEP4|収入・支出も確認する

4 本人の生活に必要なお金の流れを把握する

財産残高だけでなく、 毎月・毎年どの程度の収入と支出があるのかを確認します。

主な収入 年金、給与、家賃収入、 各種給付金など。
主な支出 家賃・施設費、医療費、 介護費、税金、保険料、 公共料金など。

収支を把握することで、 今後本人がどの程度の生活費を必要とするのか、 現在の財産で生活を維持できるのかなどを 検討しやすくなります。

STEP5|財産目録等を作成して家庭裁判所へ報告する

5 調査結果を整理する

本人の財産・収入・支出などを確認したら、 家庭裁判所の案内に従って 必要な書類を作成します。

就任時には、 本人の財産状況を整理した 財産目録などの提出が必要になります。

預貯金、不動産、保険、有価証券、負債などについて、 調査した内容を資料とともに整理します。

提出期限は必ず家庭裁判所からの案内を確認してください。
「後見人になってから○か月」と自己判断せず、 自分の事件について家庭裁判所から指定された 提出期限・書式・添付資料に従って対応します。
財産調査や初回報告でお困りの方へ

成年後見人に選任された後は、 本人の財産・収支・生活状況を整理し、 家庭裁判所から指定された方法で報告を進めていきます。

「どこまで財産を調べればよいか分からない」
「財産目録や収支の整理で困っている」
「就任後に何をすればよいか整理したい」

このような場合もご相談いただけます。

財産調査と同時に「本人の生活」も確認する

成年後見人の仕事は、 通帳や財産だけを管理することではありません。

本人が現在どのような生活をしているのか、 どのような支援を必要としているのかについても 把握しておく必要があります。

例えば、

  • 現在の住居
  • 入院・施設入所の状況
  • 介護サービスの利用状況
  • 医療機関への受診状況
  • ケアマネジャー・施設職員などの支援者
  • 親族との関係
  • 本人自身の希望

などを確認します。

成年後見は「財産管理だけ」の制度ではありません。
本人の意思を尊重しながら、 本人の生活状況を把握し、 必要な契約や法律行為などを通じて 本人を支援していくことが重要です。

就任直後に確認したいチェックリスト

成年後見人に選任されたら確認したい項目
  • □ 審判書・家庭裁判所からの案内を確認した
  • □ 提出期限を確認した
  • □ 後見登記事項証明書を準備した
  • □ 本人の通帳・キャッシュカード等を確認した
  • □ 金融機関を把握した
  • □ 有価証券の有無を確認した
  • □ 保険契約を確認した
  • □ 不動産を確認した
  • □ 自動車等の財産を確認した
  • □ 借入金・未払金を確認した
  • □ 本人の収入を確認した
  • □ 本人の毎月の支出を確認した
  • □ 本人の生活・介護状況を確認した
  • □ 財産目録等の作成を進めた

成年後見人は就任後も継続して財産を管理する

就任時の財産調査と家庭裁判所への報告が終われば、 成年後見人の仕事が終了するわけではありません。

その後も、 本人の収入・支出を管理し、 必要な契約や手続きを行いながら、 継続的に後見事務を行います。

また、 家庭裁判所の求めに応じて、 財産状況や後見事務について 報告していくことになります。

まとめ|就任直後は「把握・調査・報告」が重要

成年後見人に選任されたら、 まず審判書や家庭裁判所からの案内を確認し、 必要な手続きと期限を把握します。

そのうえで、 登記事項証明書を準備し、 本人の預貯金・不動産・有価証券・保険・負債などを 調査していきます。

さらに、 財産だけではなく、 本人の収入・支出や生活状況についても 確認することが重要です。

成年後見人の就任直後は、 その後の適切な後見事務の基礎を作る重要な時期です。 本人の財産と生活状況を正確に把握し、 家庭裁判所から指定された期限・方法に従って 必要な報告を行いましょう。

成年後見人に選任され、就任後の手続きでお困りの方へ

行政書士トリキ法務事務所では、 成年後見制度や後見事務に関するご相談に対応しています。

「成年後見人に選任されたが、何から始めればよいか分からない」
「本人の財産をどのように調査すればよいか分からない」
「財産目録や収支の整理で困っている」
「家庭裁判所への報告に向けて整理したい」

このような段階からご相談いただけます。

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