相続

相続とは、ある人が亡くなった際にその人の財産や権利・義務を法定相続人(一般的には配偶者や子供、両親など)が引き継ぐことを指します。相続の手続きは法的なものを含むため、専門的な知識が必要です。

相続の種類
  • 法定相続:法律で定められた割合に従って相続が行われます。
  • 遺言相続:被相続人が遺言書を残している場合、その内容に従って相続が行われます。
相続人の範囲

法定相続人は以下のように定められています。

  1. 配偶者:常に相続人となります。
  2. 子供:配偶者と共に第一順位の相続人となります。
  3. 親:子供がいない場合、配偶者と共に第二順位の相続人となります。
  4. 兄弟姉妹:子供も親もいない場合、配偶者と共に第三順位の相続人となります。
相続の割合

法定相続の場合には相続人の組み合わせによって財産の分配する割合が異なります。

  • 配偶者と子供がいる場合、配偶者は1/2、子供も1/2
  • 配偶者と親がいる場合、配偶者は2/3、親は残りの1/3
  • 配偶者と兄弟姉妹がいる場合、配偶者は3/4、兄弟姉妹は残りの1/4
相続放棄

相続人は相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に申立てることで、相続を放棄することができます。放棄することにより、借金などを引き継がずに済みます。

遺留分

法定相続人には遺留分といい最低限の相続権が保障されています。遺言で全財産を特定の人に定めた場合でも、遺留分を侵害することはできません。ただし、法定相続人であっても兄弟姉妹には遺留分はありません。
その他、代襲相続などにも注意が必要です。

法定相続の手続き 
  1. 相続人の調査
    法定相続人を確認するため、被相続人の戸籍謄本を取得し、相続関係説明図を作成します。
  2. 相続財産の調査
    被相続人の財産(不動産、預貯金、株式、債務、自動車など)を調査し、財産目録の作成をします。
  3. 遺産分割協議
    相続人全員で遺産分割協議を行い、財産の分け方を決めます。協議が成立したら、遺産分割協議書を作成します。
  4. 各種名義変更手続き
    不動産や銀行口座など、相続財産の名義変更を行います。名義変更に必要な書類が機関により異るので注意が必要です。

遺言

遺言は、個人が死後にその財産や意思をどのようにするかを決める法的な文書です。法律に従って作成しないと、無効になる場合があることに注意が必要です。

遺言の種類
  1. 自筆証書遺言
    遺言者が全文、日付及び氏名を自分で書く必要があります。これには押印も必要です。現在では法務局での保管が可能になりました。
  2. 公正証書遺言
    公証人が遺言者の意思を確認し、公証人の前で遺言内容を記録する方法です。証人2人の立会いが必要です。この公正証書遺言は、紛失や改ざんといったリスクが少なく、安全性が高いです。
  3. 秘密証書遺言
    遺言の内容を秘密にする方法で、遺言者が遺言書を封印し、公証人と証人の前で遺言書の存在を確認してもらいます。
  4. 危急時遺言
    遺言者が病気や事故などで死期が迫っている場合に認められる特別な遺言です。証人3人の立会いが必要になります。
遺言の効果

遺言の効果を確保するために、法律で定められた形式で作成することが重要です。もし、遺言が無効となった場合、相続は法定相続の方式に従って行われます。

遺言の内容

遺言には以下の内容を定めることができます。

  • 遺産の分割方法の指定
  • 相続分の指定
  • 遺贈
  • 非嫡出子の認知
  • 未成年後見人の指定
  • 相続人の排除
  • 生命保険金の受取人変更
  • 遺言執行者の指定
遺言の変更と撤回

遺言者は生前であればいつでも遺言を変更したり、撤回したりすることができます。この変更や撤回に関しても法律で定められた形式に従う必要があります。

遺留分

法定相続人には遺留分といい最低限の相続権が保障されています。遺言で全財産を特定の人に定めた場合でも、遺留分を侵害することはできません。ただし、法定相続人であっても兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺言執行者の選任が重要

遺言書を作成する際に遺言執行者を定めた場合、遺言執行者が遺言の内容を実行する役割を果たします。
遺言執行者を定めなかった場合、相続人が遺言の内容を実行する役割を果たします。相続人全員が合意することで遺言執行者を選任することもできます。また、相続人の間で合意が得られない場合などは家庭裁判所に選任を申し立てることができます。
遺言執行者の選任は、遺言の内容を円滑に実行するために重要となりますので、弁護士、司法書士、行政書士などに相談することをおすすめします。

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