成年後見制度と相続

今回は成年後見制度と相続の関りについてまとめました。
相続人に認知症などで判断能力の低下した方がいる場合、成年後見制度を利用する必要があります。

成年後見制度と相続

相続人の中に認知症の方がいた場合、遺産分割協議をする際に成年後見制度を利用して後見人に参加してもらう必要があります。後見人は本人の利益を考える必要があり、専門家が後見人の場合と、親族が後見人の場合で対応が変わってきます。

本人が相続人になったら

本人の親族が亡くなり遺言書がない場合、遺産分割協議をする必要があります。遺産分割協議には後見人が参加し、本人に代わり記名押印します。
後見人自身も相続人の一人であった場合には注意が必要で、後見人の相続人としての立場と、本人の後見人としての立場とで相続に関する利害が対立してしまうからです。このような場合、家庭裁判所において特別代理人を選任してもらう必要があります。選任された特別代理人が、本人に代わって遺産分割協議に参加します。
後見監督人等(後見監督人、保佐監督人、補助監督人)が選任されている場合、特別代理人を選任してもらう必要はなく、後見監督人等が遺産分割協議に参加します。

遺産分割協議での注意点

後見人は、本人の法定相続分より少なくならないように、遺産分割協議をしなければなりません。また、保佐と補助の場合には、本人の意思が優先されます。

相続の基本知識

本人が相続人となる場合に備えて、相続人となる者と法定相続分を確認しましょう。

法定相続分の基本
第1順位配偶者 2分の1子    2分の1
第2順位配偶者 3分の2直系尊属 3分の1
第3順位配偶者 4分の3兄弟姉妹 4分の1
  1. 配偶者は常に相続人になります。配偶者の法定相続分はどの順位の人がともに相続するかにより変わります。
  2. 配偶者以外の相続人には優先順位があり、先の順位の人がいる場合には後の順位の人は相続人になりません。
  3. 子や直径尊属、兄弟姉妹がそれぞれ複数いる場合には、それぞれ等分します。
遺産分割協議

遺産分割は相続人全員で行う必要があります。全員が合意することにより法定相続分以外の割合で相続財産を承継することができます。このとき、相続人全員による協議を証するため、遺産分割協議書の作成を行います。遺産分割協議書には相続人全員が実印を押印し、印鑑証明書を添付するのが一般的です。
また、遺産分割協議がまとまらない場合には、調停や訴訟により行います。

遺言書

遺言書は、被相続人の最終の意思を書面にしたものです。自筆証書遺言や公正証書遺言などがあり、それぞれ法的要件を満たして作成しなければ効果が認められません。
また、自筆証書遺言な場合には原則、相続開始後に家庭裁判所に対し検認という手続きを申し立てる必要があります。

まとめ

今回は成年後見制度と相続の関りについてまとめました。後見人の責任はとても重要なもので、常に本人の利益を考え行動する必要があります。
成年後見制度と相続に関してお困りごとなどございましたら、専門家に相談するとよいでしょう。

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